防衛医科大学校の前原正明教授らの厚生労働省研究班の調査で、医師の8割、看護師の9割が、創傷被覆材の選択・使用を、医師の包括的指示下で看護師に認めて問題ないと考えていることが分かった。厚労省が27日に開いた、チーム医療推進会議のワーキンググループに報告したもので、前原氏は会合後、「(看護師による実施が可能だとする回答が)7、8割を超える行為は、通達などで対処できるかもしれない」との認識を示した。同省は2002年に、看護師による静脈注射を医政局長通知で解禁した前例がある。
前原研究班は、看護師が行う医行為の範囲の実態と、今後の認識をWeb上で実施。医師・看護師約8000人の回答を集計したところ、自院で創傷被覆材の選択・使用を、「現在、看護師が実施している」としたのは医師44.4%、看護師73.4%で、今後「看護師が実施可能」と医師の80.4%、看護師の90.7%が答えた。
このほか薬剤関連として、「現在看護師が実施している(選択・使用)」と回答した割合が高かったのは、▽下剤(坐薬含む)=医師42.4%、看護師63.1%▽解熱剤=医師37.1%、看護師58.0%▽外用薬=医師37.0%、看護師57.8%▽鎮痛剤=医師34.9%、看護師57.2%▽睡眠剤=医師31.8%、看護師52.7%▽制吐剤=医師30.6%、看護師53.9%--など。
今後については、下剤、外用薬、整腸剤、制吐剤、ネブライザーの開始・使用薬液の選択については、医師、看護師とも7割超が、「看護師が実施可能」と考えていた。
また、検査関連では、薬物血中濃度検査(TDM)実施の決定についても調べた。TDMを実施している病院で、「現在、看護師が実施」と回答したのは、医師1.7%、看護師2.0%にとどまったが、今後については、医師の52.2%、看護師の35.2%が「看護師が実施可能」としていた。
さらに研究班は、看護師が現在行っている業務の中で、他職種による実施が適当と考えられる業務も尋ねた。それによると、注射剤のミキシングについては、現在、看護師のみで実施しているのが23.4%、他職種と分担しているのが76.6%で、今後は他職種による実施が適当としたのは72.7%だった。持参薬整理や内服薬の分包などの管理についても、ほぼ同様の比率だった。
実際に看護師に認める業務範囲は、これからワーキンググループで検討する。なお、現在は看護師の実施率が低いものの、今後は実施可能との認識が高い行為については、新たに創設する予定の特定看護師(仮称)らに認めるなどの対応策を探る方向だ。