市場調査会社の富士経済は、2010年の国内POC検査市場が、前年比約13%減の1046億円に縮小する市場予測をまとめた。前年に急拡大したインフルエンザ抗原迅速検査キットの落ち込みが、POC検査市場の縮小要因になると分析している。
POC検査市場の09年実績は、1199億円。新型インフルエンザ流行の影響で、インフルエンザ感染者が例年の2倍に上り、迅速検査キットの需要が急増。5月から8月までに各社のキット売上は、例年の2倍程度に拡大した。
ただ、新型インフルエンザの流行が、昨年12月頃に終息したことから、10年のインフルエンザ抗原迅速検査キット市場は、前年比46%減の155億円と大幅に落ち込む見通し。感染症以外のPOC検査では、HbA1c測定試薬を中心とした糖尿病専用システム用試薬、BNP、NT‐proBNPなどの心筋マーカー迅速検査キットが伸長するとしているが、インフルエンザキットの落ち込みによる影響が大きいと分析し、POC検査市場の縮小を予測した。
一方、遺伝子検査市場は、前年比0・3%増の75億7000万円になると予想。HCV検査が減少に転じたものの、結核菌・クラミジア検査が増加し、微増になるとした。今年4月に保険適用されたHPV核酸同定検査については、子宮頸癌検診の普及と相関して、市場が拡大すると予測している。