今年3月末に卒業した新制4年生972人うち、大学院進学が895人(92%)に達したことが、薬学教育協議会がまとめた「2010年3月薬科大学卒業生・大学院修了者就職動向調査」で分かった。公立で98%、国立95%、私立も85%が進学し、新教育制度での4年制の方向性が明らかとなった。一方、大学院修了者については、病棟業務の拡充などを背景に、国公私立を問わず、病院薬剤部への就職者が前年度より増加している。
調査は、全国薬科大学・薬学部(74学部)のうち、10年3月卒業の新制4年制、大学院修了者がいる薬科大学・薬学部を対象に行われ、対象者がいる全29大学(学部)から回答があった。内訳は国立14校、公立3校、私立12校。なお、九州保健福祉大学も4年制をがあるが、設置年度(08年)の関係で対象外。
その結果によると、卒業者総数は972人(男663人、女309人)、このうち就職したのは67人(男36人、女31人)、非就職者は905人だった。非就職者のうち「進学」は895人で、卒業者の約92%に及んだ。
男女別に見ると、男子では663人中623人(94%)が進学、その他の進路としては「企業」が14人と最も多かった。女子も309人中272人(88%)が「進学」し、次いで「企業」が17人だった。そのほか、「薬局」に3人、「医薬品販売業」にも5人が就職していた。
進学率は国立で95%、公立98%、私立85%で、前年度の国立66・8%、公立67・1%、私立18・7%より大幅に増大した。ただ、4年制の定員が少なくなっているため、総数は前年度より著しく少ない。国立は約700人から500人、公立は約200人から105人に、私立は約1700人から290人に減少している。
就職先別の初任給については、就職者67人のうち「給与が判明した者」33人のデータだが、「20~22万未満」が最も多く13人だった。男女別では男子は「22~24万未満」が5人、次いで「20~22万未満」3人、女子では「20~22万未満」が10人と多くを占めた。
一方、大学院前期(修士)と後期(博士)課程修了者の就職動向についても、従来同様に調査が行われた。修士修了者は国公立1261人、私立は1315人だった。
修士修了者のうち、製薬企業(研究・開発)への就職者は、国公立が347人で前年度の467人より減少。私立も277人で約11%減少した。
一方、03年以降、増加傾向を示している薬局・病院薬剤部への就職は、国公立が薬局97人、病院薬剤部233人、私立がそれぞれ120人、424人だった。特に病院薬剤部へは、国公立が前年度の180人から233人へ、私立が359人から424人へと増加している。なお、博士課程への進学は、前年度とほぼ同数で国公立233人、私立78人だった。