中央社会保険医療協議会(遠藤久夫会長)は27日、▽効能・効果や用法・用量が既収載品の組み合わせと考えられる新配合剤▽適応疾患の特性や製剤上の特性によって、1回の投与期間が14日を超える合理性のある新薬--については、薬価収載から1年間の処方日数の制限期間を、個別に判断することを決めた。12月に予定する次の薬価収載に合わせ、告示の運用を見直し、これから収載する新薬だけでなく、既に収載されている薬の制限期間も見直す。厚生労働省によると、既収載品で該当するのは、アンジオテンシンII受容対体拮抗薬とカルシウム拮抗薬の配合剤など数件の見込み。
通常、新規収載品から1年間は、処方日数を14日に制限しているが、今後は、降圧薬配合剤のように、いずれの成分とも既に保険適用され、1年以上の臨床使用経験があると認められる配合剤は、医療現場での実態等を踏まえて、制限期間を決める。ただ、HIV治療薬のカレトラなど、単剤で承認されていない成分を含むものは、従来通り原則14日を上限とする。
また、投薬期間が長期にわたり、14日を超える使用における安全性が、治験や臨床試験で確認されている医薬品も、案件ごとに期間を設定する。過去にも、禁煙指導に用いるニコチネルや、通院によって骨折リスクが高まる骨粗鬆症の治療薬「フォルテオ」を、疾患特性を考えて特例的な取り扱いとしていた。製剤特性の観点では、28日周期で使うピルのルナベル配合錠、ヤーズ配合錠に14日制限を適用しなかった前例がある。
委員には、配合剤を新薬とすることに対する不信感が強く、同日の会合でも安達秀樹委員(京都府医師会)が、「組み合わせは、一人ひとりオーダーメイドで決めるもの」と指摘。さらに、薬剤数が7種類以上だと処方料、処方せん料が低くなる診療報酬ルール上、配合剤は薬剤数を減らす点で有利なため、「販売の伸びを期待されるのは本末転倒。7剤制限の議論が本来あるべき」と牽制した。
また、勝村久司委員(日本労働組合総連合会)が、「コンプライアンスだけの問題で、配合剤を新薬としてしている矛盾がある。コンプライアンスは薬剤師がやるべきこと」と発言。遠藤会長も、内用配合剤の薬価抑制ルールを導入したことなどを踏まえ、「だんだん、新薬としての(配合剤の)特徴が薄れてきたということ」と述べた。