厚生労働省は、冬に増加する肺炎球菌ワクチン接種に備え、誤接種を防止するための留意事項を整理し、関係者への周知徹底を都道府県に要請した。接種対象者が製剤によって異なるため、適切な選択を医療機関へ促すと共に、処方・調剤、受発注の際に用いる呼称を「製品名」とするよう求めている。
肺炎球菌ワクチンには、2歳以上で肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険性が高い者を対象としたMSDの「ニューモバックスNP」と、生後2カ月以上9歳以下の小児を対象としたファイザーの「プレベナー水性懸濁皮下注」の2種類がある。
しかし、2歳未満の乳幼児への接種を目的に、医療機関が「肺炎球菌ワクチン」と注文したのを受けて、卸がニューモバックスを納品し、そのまま接種してしまった事例がある。また、「肺炎球菌ワクチン」との請求に対し、薬剤部が払い出したニューモバックスを乳幼児へ、逆にプレベナーを成人に使用した事例も発生している。
厚労省によると、これまで誤接種による重篤な副反応は報告されていないものの、対象者以外への接種は十分な効果が得られないだけでなく、安全性が確立されていないという。
そのため厚労省は、添付文書を十分確認して適切な接種を行うよう、医療機関へ注意喚起し、特に2~9歳の場合は、両製剤とも接種対象になり得るため、効能・効果を勘案して、製剤を決定するよう指示した。ワクチンの処方、調剤、受発注を行う際に、接種者の年齢、基礎疾患の有無を確認することもポイントに挙げた。
なお、ニューモバックスはバイアル形状で、無色透明な水性注射剤。プレベナーはシリンジ形状で、振り混ぜると均等に白濁する不溶性の液剤。