アステラス製薬の野木森雅郁社長は2日、都内で開いた決算説明会で、6月に買収を完了した米OSIファーマシューティカルズの統合作業を、2011年6月末までに完了させる方針を明らかにした。OSIの組織を機能部門ごとにアステラスへ集約する方向で、現在500人のOSI従業員を300人強に削減。拠点の統廃合を加速させる。野木森氏は、「OSIの統合を早期に完了し、利益の底上げを図って成長につなげたい」と語った。
今回、明らかになった統合計画によると、研究機能をニューヨーク州ファーミングデールのOSI事業所に集約し、アステラスの米国低分子癌創薬センターとすると共に、OSIが買収した英プロシディオン社については、引き続き糖尿病・肥満領域の研究開発を担う組織と位置づけた。また、進行中の臨床開発プログラムは、全てイリノイ州ディアフィールドのアステラスUSへ移転し、その他の事業所については閉鎖する方針。米国と英国で500人の従業員を300人強にまで削減し、拠点の統廃合を加速させる。
一方、販売機能に関しては、米国での癌領域の営業組織と人員を維持し、「タルセバ」の販売を手がけるスイス・ロシュグループとのパートナー関係も継続する。
既にOSI買収後、10年7~9月の「タルセバ」関連収入は、前年同期比6・9%増の9300万ドルと順調に拡大しており、同社は統合作業を加速させ、11年6月末までに完了させる予定だ。野木森氏は「10年度は、特許切れの影響をフルに受ける厳しい年となるが、OSIの統合を早期に完了し、中長期の成長につなげたい」とOSIの貢献に期待を示した。