
羽田空港にある治験薬専用保管施設
CRO大手のイーピーエスと三井物産は11日、来年4月から治験薬物流管理サービスを共同で開始すると発表した。羽田空港の新国際貨物ターミナル内に設置した専用保管施設を活用し、治験薬の割付システムから物流まで、シームレスな受託を実現することで、物流コストの大幅な削減を目指す。今後、高品質で業界標準の管理システム構築に取り組み、将来的には中国などアジアへ物流網を拡大させたい考えだ。
イーピーエス子会社のイートライアルは、第三者を介した治験薬交付を認めた2008年4月のGCP改正を受け、自社EDCシステム活用した治験薬割付・配送システムを構想。臨床試験の周辺サービスとして運用を開始していた。今回、物流事業に専門性を持つ三井物産と協力し、治験薬の割付から物流までを管理する、初めてのアウトソーシングサービスを提供できることになった。
来年4月からスタート予定の治験薬物流管理事業は、羽田空港新国際貨物ターミナル内の東京国際エアカーゴターミナル(TIACT)が設置した治験薬専用保管施設を活用し、イートライアルの割付システムと連携した物流管理システムを運用する。両社は、日本やアジアで実施される臨床試験について、羽田空港を治験薬物流のハブと位置づけ、高品質で業界標準のシステム構築を目指したい考えだ。
既に、治験薬物流に関しては、外資系など物流業者の参入が相次いでいるが、両社は物流機能に割付システムを連動させ、初めての取り組みとなる「物流管理業務」として、アウトソーシング拡大を狙う。これまで、モニタリング業務の約5%が治験薬管理に充てられ、そのコストは約200~300億円に上っていたと試算されており、今回のサービスによって、物流コストの大幅な削減が期待できるという。
将来的には、羽田空港に設置した国内治験薬物流の拠点をアジアにも拡大し、中国の主要都市空港などに展開していく計画だ。