日本医薬品登録販売者協会(日登協)の関西圏初の都道府県支部となる「大阪府登録販売者協会」の設立総会が、10日に大阪市のホテルで開催され、会長に槌屋茂康氏(イレブン)の就任が決まった。副会長には皆川友夫氏(アカカベ)と奥谷英一氏(シグマ薬品)、監事には橋本勝之氏(キリン堂)がそれぞれ就任した。設立された「大阪府登録販売者協会」では、大阪府内で勤務する登録販売者の資質向上と地位向上を図り、登録販売者の総合的支援を通じて社会に貢献することを目的として掲げ、今後、集合研修などの事業を行っていくことにしている。設立時の会員企業は16社で、会員対象となる登録販売者は約6400人。
事業活動としては、▽大阪府内に勤務する登録販売者の資質向上と資質の標準化を図るための同一の継続研修の開催▽行政との、情報を共有した連携と協力体制の構築▽医薬品販売等の改善点の意見具申、日登協および関係団体主催各事業への参加‐‐などを掲げており、協会としての集合研修も来年3月に実施する予定だ。
設立総会であいさつした皆川副会長は、「JACDS加盟社が中心となり、大阪府内の16社21人の参加のもと、日登協の大阪府支部として、大阪府登録販売者協会を設立した。今後、消費者、生活者に、安全・安心に一般薬を供給することをはじめ、行政の受け皿としての登録販売者の組織化を図り、店頭での実力が評価され、確実な知識と技術を提供できるように取り組みたい」と語り、関係者に協力を要請した。また、会員獲得については、「JACDS加盟企業だけでなく、それ以外の方々にも人脈を通じて呼びかけ、お互い協力しながらやっていかなかればならないと思う」との考えを述べた。
来賓あいさつで日登協の鎌田伊佐緒会長は、「日登協は、登録販売者が必要とする、役に立つ団体として法改正の趣旨に則り設立された。皆さんの企業で勤務される登録販売者を、われわれの継続研修にお任せいただくことを通して、企業、開設者の皆様にも有益となることを念頭に、この2年間、準備を進めてきた」とし、「今後、経営者の皆様方の意見を聞きながら、プラスになる事業活動を展開し、日登協が登録販売者にとって必要な組織になるよう努めていきたい」と抱負を語った。
一方、日本薬業研修センター理事長の川島光太郎氏は、「研修センターでは、専門家として必要な知識や新しい情報、店舗での適切な対応、コミュニケーションを網羅し、一年間を通じて教育するシステムを構築し、今年8月から実施している」と説明。研修内容についても「業界のミニマムスタンダードとして作成した。受講いただくことで、薬業界全体のレベルアップを図れるような内容。登録販売者の資質向上に寄与していきたい」とした。
また、行政関係者として、大阪府健康医療部薬務課医薬品流通グループ長の大久保哲彦氏は、「大阪府では現時点で、5500人の登録販売者が誕生しているが、改正薬事法の施行以来『名札などによる登録販売者と一般従事者の区別がはっきりしない』『購入時にも十分な説明がされていない』との声も聞こえている」と指摘。その上で、「登録販売者となったことがゴールではなく、一般薬の実務を担う実際のスタートだという意識を強くもち、業界人としての法令遵守はもとより、一般薬に必要な知識、実際に勤務する薬局・薬店での実践的な知識習得に努めていただきたい」と述べた。