
ダン・フェルドマン社長
製薬業界に特化した米受託大手「インヴェンティヴ」グループの日本法人「インヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン」は、グローバルでの経験・実績を武器に、2009年2月から国内でCSO事業を展開している。本格稼動して約2年が経過し、コントラクトMR(CMR)は約450人体制までに拡大。国内CSO市場で2位に位置するまでになった。ダン・フェルドマン社長は、本紙のインタビューに対し、「CSO事業のみならず、インヴェンティヴが展開する多面的な事業を国内でスタートさせ、製薬企業とのパートナーシップを確立したい」と述べ、さらなる事業拡大の方針を明らかにした。
インヴェンティヴは、製薬業界に特化し、グローバルで多角的な受託業務を展開。グループ会社として、CSO事業のほか、CROや広告代理店、ブランド戦略のコンサル業務など関連41社を傘下に抱える。特にCSO事業は、米国市場で高いシェアを獲得しており、国内でも08年にインヴェンティヴ・ヘルス・ジャパンを設立後、09年2月には事務所を立ち上げ、国内事業を本格的にスタートさせた。
フェルドマン氏は、CSO事業で日本市場に進出した理由について、日本と欧米のドラッグラグを例に挙げ、「インヴェンティヴグループが関わってきた多くの製品が、何年か遅れて日本で承認されている状況を考えると、CSO事業で日本市場に進出するのが最適だった」と説明する。こうした海外経験から、委託先の製薬企業に対し、より付加価値の高い情報提供活動を提案している。
製薬企業のニーズに対応した契約形態も特徴で、高い成果につながっている。通常、製薬企業とCSOの契約期間は2年間といわれているが、同社では半年の短期契約を選ぶこともできる。また、目標売上高を設定し、達成すればCSOが成功報酬を受け取るという新たなビジネスモデルを打ち出した。既に製薬企業側からの引き合いも増えてきており、CMRを約450人体制に拡充。11年末までには、700~800人体制に引き上げる計画だ。
一方、CMRのスキル強化にも力を入れており、フェルドマン氏は「これまではMRの数合わせという意味合いが強かったが、今後は製薬企業がCMRを戦略的に活用する時代になる」と分析。CMRの質が重要視されるとの見方を示す。その上で「インヴェンティヴでは、MRの質を高めるだけの教育基盤がある」と自信を示す。
米国では、製薬企業からMRの教育研修を受託しており、約9割のシェアを獲得するなど、充実した教育体制を自社に備える。こうしたインヴェンティヴの教育カリキュラムを用いる一方、医療従事者のネットワークを強みとする「医学アカデミー」の教育研修を活用し、MRに必要な専門性を補完する。フェルドマン氏は、「受託企業が成長していくためには、専門性の高い会社にアウトソーシングを行い、質を管理していかなければならない」と強調する。
今後、インヴェンティヴグループの会社を、順次日本に進出させる計画で、CSO事業のみならず、多面的なサポート体制を整えていく方針だ。現在、製薬企業13社と取引関係にあるが、フェルドマン氏は「長期的・包括的なパートナーシップを考えると、20社が限度」とし、その後は既存顧客との関係強化に最注力する方針を示している。