政府が24日に閣議決定した2011年度予算案で、厚生労働省医薬食品局が来年度に予定する主要施策が固まった。
予算額は今年度当初から2割減の81.1億円。このうち、新成長戦略関連の特別枠は、医療情報データベースの基盤整備事業、日本発シーズの実用化に向けた薬事戦略相談推進事業の4.7億円となった。
データベース整備は2カ年事業の初年度として来年度に11億円強を要望したが、3.7億円に減額された。ただ、データ利用者となる医薬品医療機器総合機構と費用を折半することにして、事業規模7.3億円を確保。整備期間を3年に延ばし、電子カルテやオーダリングデータの流し込みの開始を1年遅らせたが、1000万人分のデータ収集は、計画通り5年間で完成させるメドをつけた。
薬事戦略相談の推進は、要望額4.6億円に対し決定額1.0億円で、医薬品医療機器総合機構の追加人員を、当初見込んだ人数の1/3程度となる11人に縮小したが、産学官による懇談会は予定通り設置する。
また、夏に概算要求した、患者会との協議会運営(500万円)、登録販売者研修の講師養成プログラムの策定(300万円)は見送られた。新型インフルエンザのプレパンデミックワクチンの備蓄や、有効期限切れ新型ワクチンの廃棄に必要な費用は、今年度補正予算で手当てされたため、盛り込まれなかった。
2011年度医薬食品局予算案の概要
総額81億0500万円 うち特別枠4億7100万円
対前年度21億7600万円減少
[1] 医薬品・医療機器の安全対策の推進:12億8000万円‐薬害肝炎検証・検討委員会の最終提言を踏まえ、安全対策等の充実・強化を図る。
▽医薬品等第三者監視・評価組織運営費:800万円(新規)
▽医療情報データベース基盤整備事業費【特別枠】:3億7300万円(新規)
▽無承認無許可医薬品対策費:2100万円
▽GMP調査対策強化対策費:700万円
[2] 医薬品・医療機器の承認審査の迅速化:8億4800万円‐ドラッグラグ、デバイスラグの解消に向け「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」等に基づき、引き続き、必要な施策を実施する。
▽未承認薬等審査迅速化事業費:9900万円
▽日本発シーズの実用化に向けた医薬品・医療機器薬事戦略相談推進事業費【特別枠】:9900万円(新規)
▽新医薬品を迅速に開発・評価するためのガイドライン整備事業費:500万円(新規)
▽新医療機器使用要件等基準策定費:900万円(新規)
▽医療機器臨床評価ガイドライン作成事業費:1200万円(新規)
▽先端技術を用いた医療製品に関する規制調和推進事業費:900万円(新規)
▽医療機器国際会議費:1200万円
[3] 安全な血液製剤の供給確保等:4億7300万円‐医療に不可欠な血液製剤の安定供給を確保すること、血液の安全性を確保すること等のために、必要な施策を実施する。
▽フィブリノゲン製剤納入先医療機関訪問調査費:2000万円(新規)
▽若年層献血者等確保推進費:3600万円
▽NATOコントロールサーベイ事業費:3億円(新規)
[4] 新たな一般用医薬品販売制度への対応等:2億1500万円‐薬事法の改正、薬学教育6年制などの環境の変化に適切に対応する。
▽医薬品消費者相談等体制整備事業費:2300万円
▽医薬食品局国家試験費:9900万円
[5] 薬物乱用対策の推進:2億4100万円‐薬物事犯情勢は依然として憂慮すべき状況にあることから、引き続き、青少年を中心とした啓発および薬物事犯の取締の強化を図る。
▽薬物乱用防止啓発活動費:1万4400万円
▽薬物取締体制の充実・強化費:5億5600万円(地方厚生局麻薬取締部計上)