米メルクは、抗血栓薬「ボラパクサール」の大規模第III相試験「TRACER」を中止すると発表した。心血管イベント既往患者を対象とした「TRA‐2P」試験でも、脳卒中発症患者への投与を中止する。これまでの安全性・有効性データを検証した安全性モニタリング委員会の勧告を受けた措置。ただ、「TRA‐2P」試験で心臓発作や末梢動脈疾患を発症したことのある患者に対しては、ボラパクサールの投与を継続する。
選択的PAR‐1トロンビン受容体拮抗剤であるボラパクサールの第III相試験は、急性冠症候群患者約1万3000人を対象とした「TRACER」、心臓発作や虚血性脳梗塞等の心血管イベント既往患者約2万6500人を対象とした二次予防試験「TRA‐2P」の、二つの大規模臨床試験が実施中で、既に患者登録は完了していた。
今回、両試験の安全性・有効性データを検討した安全性モニタリング委員会の勧告を受け、TRACER試験と、脳卒中発症患者を対象としたTRA‐2P試験の中止を決めた。ただ、TRA‐2P試験に関して、心臓発作や末梢動脈疾患を発症したことのある患者にはボラパクサールの投与を継続する。
今後、メルクは、TRACER試験でボラパクサールの投与を中止するものの、安全性・有効性データを今年後半に入手し、学会発表する予定。また、試験を継続するTRA‐2P試験に関しては、新たな完了期日を確定次第、当局への申請予定を再考するとしている。