厚生労働省はこのほど、2010年版麻薬・覚せい剤行政の概況を取りまとめた。それによると、09年におけるオピオイドの消費量は、塩酸モルヒネが対前年比2・9%増の324kg、硫酸モルヒネが13・5%減の115kg、フェンタニルが50・6%増の30kg、塩酸オキシコドンが15・2%増の509kgだった。モルヒネ製剤をモルヒネ換算すると334kgとなり、1・8%減った。あへんの輸入量は年度ベース91・4tで11・2%増えた。
指導監督では、09年に立入検査によって管理・保管、記録、帳簿などの違反が見つかった施設が、麻薬関係1172カ所、向精神薬関係578カ所、覚せい剤関係169カ所だったことを報告している。
不正麻薬の取り締まりについては、薬物事犯による検挙数が1万5417人と08年を上回り、特に覚せい剤事犯の検挙が増加し、全体の8割弱を占める1万1873人だった。麻薬事犯ではNMDAなど錠剤型合成麻薬の検挙や押収が大幅に減り、コカインの検挙が増加。向精神薬事犯は31人で、押収量は3万6479錠だった。また、大麻事犯は押収量が減ったものの、検挙数が初めて3000人を超え、室内栽培を含む不正栽培が広がりを見せているという。