メディパルホールディングスの熊倉貞武社長は7日、都内で開いた中期ビジョン説明会で、2014年3月期までにALC(エリア・ロジスティックス・センター)機能を全国展開し、安全・安心と低コストで顧客の強い支持を得ていく戦略を示した。11~13年度までの3カ年中期ビジョンでは、ALC機能の拡大と共に、MR資格を取得したAR(アシスト・レプレゼンタティブ)の活用でMS機能を強化し、最終年度の13年度には売上高3兆円、営業利益350億円を目指す。
中期ビジョンでは、医薬品卸業界の大幅な環境変化を受け、粗利益が恒常的に低下する中、自力成長を目指す方針を打ち出した。熊倉氏は「これまでは業績が悪化し、厳しい状態が続くと再編が行われてきたが、今中期期間は自力で成長するストーリーを作りたい」と強調。安心・安全を低コストで提供する「安・低・感」の浸透によって、顧客の強い支持を得ていく流通体制の構築を目指す考えを示した。
医療用医薬品等のメディセオ事業では、売上高2兆1420億円、営業利益202億円を掲げた。高納品率や高出荷精度、土曜配送・分割販売を実現するALC機能をコア戦略と位置づけ、中期期間中の3年間でALC機能を全国展開する方針を打ち出した。医療用医薬品等事業の設備投資計画156億円のほとんどを投入し、売上増とコストダウンを実現させ、営業利益の確保を目指す。6月には名古屋ALCが稼働する予定になっている。
物流機能の強化と共に、MR資格のあるARを活用した新事業を展開し、MS機能を充実させる。スペシャリティーファーマやバイオベンチャーに対し、メディパルのAR部隊が上市後のマーケティング支援等を行うなど、医薬品卸の新機能として浸透を目指す。3年後には、ARを現行105人から300人体制に拡大する計画で、熊倉氏は「ARを活用した事業をもう一つの収益源として考えたい。今のところ競争相手がいないため、アドバンテージがあるうちに事業展開したい」と語った。
また、中国事業に関しては、首都の北京市に医薬品卸の急速な集約化が進んでいる現状を受け、まず北京にターゲットを当て、日本型卸モデルを定着させるとした。
一方、化粧品・日用品、一般用医薬品事業のパルタックでは、中国への輸出をターゲットに海外事業を強化し、売上高8140億円、営業利益143億円を目指す。