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ネット販売緩和‐経済性のみの議論は危険

2011年2月25日 (金)

 行政刷新会議の「規制仕分け」が、来月6~7日に開かれる。刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」のライフイノベーションWGが先月発表した「中間取りまとめ」に含まれた、一般薬のインターネット販売規制緩和や調剤基本料の一元化などが、仕分け項目として盛り込まれる可能性があり、その動向が注目される。

 今回の「規制仕分け」は、民主党の目玉施策として一定の評価を得た「事業仕分け」と同様に、広く国民に公開して、制度や規制の是非を議論するもの。WG中間取りまとめで俎上にあがった項目のうち、一般薬のネット販売規制緩和は、改正薬事法施行以前から、ネット通販企業などが要望してきた事柄。さらに今年5月末には、原則禁止の第2類薬の通信販売を、医薬品販売店のない離島居住者や、既存の利用者に限って可能としていた経過措置が終了するだけに、議論の行方が気になるところだ。

 現在のネット販売規制は、改正薬事法の施行規則を定めた省令によるもの。刷新会議は、これら規制に伴う「消費者の利便性の毀損」や「事業者間の公平性の阻害(地方の中小の薬局のビジネスチャンスの阻害)」を問題視。改革案では、ネット販売のルール設定や、テレビ電話やFAXで遠隔地でも薬剤師からリアルタイムで情報提供を確保する体制が整備できれば、薬剤師、登録販売者の常駐義務撤廃まで踏み込んでいる。

 今回の規制仕分けは、「民間事業者の自由な経済活動を阻害する規制の撤廃」が狙いなだけに、こうした経済性、利便性という視点に比重が置かれがちになる。

 しかし、専門家による対面販売の必要性は、一般薬の副作用被害の回避だけでなく、薬局店頭での薬剤師トリアージにより、有害事象が未然回避できるメリットを、もっと強調すべきだろう。

 ある知人は、額の右目上に発生した「出来物」をニキビと思い込み、ニキビ治療薬を使用し続けていたが改善せず、薬も切れたため再び治療薬を購入するため、薬局に赴いた。その際、薬剤師から「どんな症状か見せてもらえますか」と聞かれ、患部を見せると即座に受診を勧められた。その後、皮膚科を受診し、出来物がヘルペスと分かり、「症状が進行していれば失明もあり得た」と医師から忠告されたという。

 ネット社会の様々な利点や恩恵は否定しない。ただ、軽医療分野を担う一般薬の販売が、利便性のみで左右されていいものだろうか。先の事例のように受診勧奨で、救われるケースも少なくないはず。自己判断で軽くネット等で購入した一般薬を使用し続けることで、症状の悪化を招く例は少ないとはいえない。それを購入者側の自己責任だけで済ませるのか。

 ネット販売の流通形態を否定するつもりはないが、医薬品の場合、流通上の適正管理のあり方まで、薬事法上規定されている。それは、単なる商品として、右から左へと届けることだけで完結されるべきものではない、生命関連商品だからだ。

 実際、一般薬の添付文書全てに、服用中の副作用に気づいたときは、医師や薬剤師に相談するよう記載されている。それが専門家を介した販売とすべき所以だろう。経済活動の阻害という要因だけで、医薬品のネット販売の規制緩和が推し進められないような議論を望みたい。




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