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実務実習、学生の成長に手応え

2011年2月18日 (金)

 このところ薬学生の発表や考え、公の会合で耳にする機会が増えている。発表内容は以前、現実を無視した突拍子もないものもあったが、次第に現実を直視するようになると共に、質を伴う意見、視点が目に付くようになった。まさに新しい薬学教育制度の成果の表れ。とは少々気が早いかも知れない。

 その薬学教育6年制の目玉である長期実務実習が今年度から始まり、既に第3期目に突入。受入側は第1期、2期で経験を積み重ねており、その評価としては概ね順調に推移していると考えているようだ。

 先日、大学の実務実習担当者を中心とした教員、日本薬剤師会や日本病院薬剤師会の受入関係者、さらに病院あるいは薬局実習を体験済みの薬学生90人が一堂に会し、薬学教育協議会のフォーラム2011が開かれ、第1期、2期の実務実習の状況、成果を振り返った。

 限られた時間の中で、各関係団体から実習に関するアンケート調査結果の報告や、全大学の実務実習実施状況のポスター発表、昼休みもランチョン形式で「実務実習の支援システム」が紹介された。その後、体験コーナーと並行して学生が10グループに分かれSGDを実施。最後に全グループが発表し、質疑を行った。

 学生に与えられた課題は、病院・薬局実習ごとにそれぞれ、[1]実務実習を通して印象に残っていること[2]これから6年制卒の薬剤師となって取り組んでいきたいこと[3]実務実習について、学生、大学教員、指導薬剤師等に伝えたいこと――の3点で、2時間かけ意見をまとめた。

 ある意味“各校選抜学生”とはいえ、各グループとも実に見事に意見をまとめ、会場では物怖じせず、堂々と発表していた。さらに10グループそれぞれの発表後には、必ずフロアの学生から質問が出た。「いまどきの子」という言い方もあるが、“伝統ある真面目さ”を引き継ぎつつの、その積極性と探求心には心強さを感じた。

 肝腎の発表と質疑だが、注目されたのは、さらなる高度化、医師との対等な立場を目指す視点から「専門薬剤師」が課題にされたこと。また将来に向け「処方権が取りたい」、現実的なところでは「処方提案ができるようになりたい」との展望が示された。

 さすがに、“処方権”については、フロアの学生から「薬剤師本来の仕事をどう捉えているのか。その上で、処方権をとったらどうするのか」と、鋭い指摘があった。

 発表した学生は、「看護師も処方できるようになると聞いている」と発表に至った背景を示した。最後は「医師に提案しても聞き入れてもらえない実態があったので、努力して他職種から頼られたい」と本来的な趣旨を説明した。

 前半の論議は、ある職能団体の総会などでも聞いたような気がする。後段は何ともけなげ、志の高さを感じずにはいられない。現実の各種団体、病院・薬局、薬剤師がどうであれ、新たな教育制度の下、“医療人”が芽吹きつつあるのは確かなようだ。

 事細かなSBOsには双方不満があるにせよ、現場で患者の苦しみや悩み、薬剤師職能を肌で感じもらうという意味では、本来的な実習の成果は上がっている。後は、現役が高い倫理感を掲げ、自ら他職種と連携、頼られる仕事を実践していく。その弛まぬ努力の姿勢に、新たな薬剤師像も構築されるのではないか。




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