
独サンド・ジョージCEO
独サンドのジェフ・ジョージCEO(最高経営責任者)は3日、都内で記者会見し、急成長する後発注射剤市場で世界トップを目指す考えを示した。現在シェアは第2位だが、昨年に先行上市した抗凝固薬「エノキサパリン」の後発薬をドライバーに、近くトップシェアを狙う。既にバイオ後続品で世界一の市場シェア約50%を確保しているサンドは、高い技術力と製造能力を背景に、製造が難しいバイオ後続品、注射剤、呼吸器製品を柱に、事業を強化する。
サンドの2010年売上高は、前年比15%増(現地通貨ベース)の85億ドルとなった。特に世界トップシェアのバイオ後続品は、欧州で上市したG‐CSF製剤「ザルジオ」が265%増と伸長し、63%増の1億8500万ドルと高い伸びを示した。
日本でも、初めてとなるバイオ後続品のヒト成長ホルモン製剤「ソマトロピン」が400%増と急成長した。ジョージ氏は「まだ日本の市場規模は小さいが、ソマトロピンは少しずつ浸透しており、これから加速的に伸びていくだろう」と予測。その上で、「既にサンドはバイオ後続品で10年以上の経験があり、高い技術開発力、グローバル製造拠点を持っている。競合は気にしていない」と述べ、リーダーの地位に自信を示した。
こうした製造技術力を背景に、世界2位に浮上した後発注射剤市場でも、トップシェアを狙う考え。特に昨年上市したエノキサパリンは、同社が市場を独占している。売上高も注射剤で過去最大の4億6200万ドルを達成し、病院市場で圧倒的な優位性を確保している。
ジョージ氏は、「今後はバイオ医薬品をはじめ、デバイスが必要な注射剤や吸入剤が特許切れし、製造が難しい複雑な品目が出てくる」と指摘。バイオ後続品に続き、注射剤と呼吸器製品を柱と位置づけ、事業展開を強化していく方針を示した。