厚生科学審議会予防接種部会の「ワクチン評価に関する小委員会」が、9種類のワクチンについて、予防接種のあり方を整理した報告書をまとめた。
予防接種法の対象になっていない、[1]ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)[2]小児用肺炎球菌コンジュゲート[3]成人用肺炎球菌ポリサッカライド[4]ヒトパピローマウイルス(HPV)[5]水痘[6]おたふくかぜ[7]B型肝炎――ワクチンのいずれも、「接種を促進していくことが望ましい」と結論づけた。既に予防接種法の対象となっている[8]ポリオ[9]百日せき――ワクチンは、改善を求めている。
このうちHib、小児用肺炎球菌、HPVの3ワクチンは、現在、公費助成による緊急接種事業が進められているため、継続的な接種に向けた対応を促している。小児用肺炎球菌では、現行の7価ワクチンに含まれない血清型の肺炎球菌の拡大に懸念を示し、13価ワクチンの早期開発を含む、中長期的取り組みを要請。HPVは、ワクチンによる感染予防が100%でないことや、子宮頸癌の原因となる全型をカバーしていないことなどを踏まえ、細胞診検査の適正実施や効果の検証を提言した。
成人用肺炎球菌については、高齢者に対するワクチン接種を進めるほか、免疫効果の持続や、再接種時の抗体価の上昇効果の検証することとした。
水痘ワクチンは、帯状疱疹に対する効果が期待されることや、バイオテロ対策の観点での検討を求めた。
おたふくかぜワクチンは、予防接種に使用するワクチンを選定すると共に、ワクチン接種による感染・重症化防止の有効性と、無菌性髄膜炎の可能性のバランスに関する、国民の理解と合意を課題に挙げた。
B型肝炎ワクチンは、肝炎対策全体の中での位置づけを明確にしつつ、乳幼児期や思春期といった接種対象の、さらなる検討を進める方向性を示した。
ポリオは、百日せき・ジフテリア・破傷風(DPT)ワクチンに不活化ポリオワクチン(IPV)を合わせた4種混合ワクチンを、速やかに導入する必要性を強調。経口生ワクチン(OPV)からIPVへの切り替え時の混乱を回避するため、十分な準備を求めた。
百日せきについては、青少年層以降での発生割合が増えているため、ジフテリア・破傷風(DT)ワクチンの2期接種時に、百日せきの抗原を含むワクチンを追加接種することを提案している。