大日本住友製薬は、自社創製の非定型抗精神病薬「ルラシドン」(一般名)について、武田薬品と欧州での開発・販売契約を締結した。
武田薬品は、欧州に販売子会社12社があり、今回の契約により、英国を除くEU加盟国26カ国と、スイス、ノルウェー、トルコ、ロシアで独占的にルラシドンを販売する。英国については、大日本住友製薬が欧州での販売拠点構築を見据えて、自社単独販売を目指す。
契約に基づいて、武田薬品は大日本住友製薬に契約一時金100億円、統合失調症、双極性障害を効能とした申請・承認時のマイルストンとして最大約1億8000万ドル、また、販売額に応じたロイヤリティを支払う。今後発生する対象国での承認取得に必要な開発費用については、両社で按分する。
ルラシドンは、大日本住友製薬の米国進出第一弾製品で、2月4日に米国で発売。2014年度に700億円の売上目標を掲げている。
欧州では、今後、統合失調症と双極性障害の適応症で、12~13年の申請を目指す。統合失調症の適応では、EUでの申請に向け、追加臨床試験の必要性について、欧州医薬品庁と協議を重ねている。
欧州での統合失調症治療薬市場は56億9500万ドル(09年)。主要5カ国では38億7000万ドル(10年)に上る。
「セフタロリン」を導入
また、大日本住友製薬は、武田薬品が創製した注射用セフェム系抗生物質「セフタロリン・フォサミル」(一般名)の、日本における開発・製造・販売契約を締結した。
同契約に基づいて、大日本住友製薬は武田薬品に、契約一時金として5億円、開発の進捗に応じたマイルストンとして最大25億円、販売後に販売額に応じたロイヤリティとマイルストンを支払う。
また、日本におけるセフタロリンの非臨床試験、臨床試験、製造販売承認申請、販売に関する費用は、全て大日本住友製薬が負担する。
セフタロリンは、武田薬品が創製したセフェム系抗生物質で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や、多剤耐性肺炎球菌を含むグラム陽性菌、グラム陰性菌などに強い抗菌力を有する。
感染症領域を国内営業の重点領域の一つとして位置づける大日本住友製薬では、セフタロリンをアンメットメディカルニーズの高い院内肺炎、敗血症などのMRSA感染症治療薬として開発。カルバペネム系抗生物質「メロペン」や、ポリエンマクロライド系抗真菌性抗生物質「アンビゾーム」などの販売で培った営業基盤を活用し、同剤を売上高100億円の大型製品に育成する意向を示している。