日本製薬工業協会は、会員各社の企業倫理や法令遵守の徹底に力を入れる。製薬協の組織内に全部で12ある委員会の一つ、企業倫理委員会を「コンプライアンス委員会」に改称し、その下に実務委員会を新たに設置する計画だ。組織変更は5月の製薬協総会で提案し、正式に決定する。
委員会の名称変更のほか、▽法務や薬事の専門家など外部の人材を委員に加える▽各社の役員や執行役員、部長クラスの、この分野に詳しい人材からなる実務委員会を、委員会の下部に新設する▽実務委員会は定期的に開催する▽コンプライアンス関連の研修会を年1回以上開く――などを計画している。
川邊新専務理事は、「企業倫理委員会は従来、会員の処分という役割だったが、会員会社へのコンプライアンスの徹底や周知を図るという業務も追加しようということ」と目的を話す。
これまで、会員各社の社長クラスからなる企業倫理委員会の活動は、不祥事を起こした会員会社への処分内容を決めることが主で、不祥事が発生しなければ委員会は開かれない。実際、薬事法違反で行政処分を受けた田辺三菱製薬への処分を決定した昨年4月の企業製 薬 協倫理委員会は、5年ぶりの開催だった。そのため、会員各社にコンプライアンスを徹底させる体制の整備が、十分ではなかったという。