
土屋社長
田辺三菱製薬の土屋裕弘社長は10日、大阪市内で開いた決算説明会で、「次期中期経営計画(11~15)は、2015年度の売上高5000億円、経常利益1000億円を視野に作成する」計画を示した。また、海外展開については、自社製品の高リン血症薬「コレバイン」、慢性腎不全薬「クレメジン」を軸に、次期中計中に「M&Aも視野に入れた米欧進出を図る」戦略を明らかにした。
田辺三菱製薬は、次期中計の発表を3月に予定していたが、1月の品質管理問題、3月の東日本大震災の影響で、10月をメドに、現在、具体的な数値目標の再検討を行っている。
土屋社長は、次期中計について、「最初の2年間を社会からの信頼回復と新製品の上市、残り3年間を新製品の拡大に当てる」考えを示した。
その上で、数値目標を「15年度売上高5000億円、経常利益1000億円を視野に入れて決定したい」とし、「15年までは確実に新製品上市が見込まれるが、それ以降も目玉となる新薬開発に尽力したい」と強調した。
同社は、4月に「クレメジン」を発売。さらに今年度内には、抗うつ薬「レクサプロ」、関節リウマチ治療薬「シンポニー」、C型慢性肝炎治療薬「MP‐424」、癌性突出痛治療薬「アクレフ」、多発性硬化症治療薬「FTY720」の上市が期待されている。
海外展開では、09年7月に米国販売会社ミツビシタナベファーマアメリカ、同年5月に中国販売会社広東田辺医薬を設立。「販売拠点の基礎は整った。米欧は、コレバイン(米国申請予定11年)とクレメジン(同12年)を軸に、M&Aを視野に入れた戦略を考えたい」と強調した。
アジアについては、「以前より中国、韓国、台湾、インドネシアで販売基盤が構築されている」と述べ、国内で開発した新製品を投入していく方針を示した。