厚生労働省医薬食品局は27日、致死的な疾患や日常生活に著しい支障がある疾患で、代替治療がない場合に、治験の参加基準から外れた患者が、開発中の医薬品にアクセスできる新たな制度を創設することについて、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会に示した。希少疾病用医薬品に対する助成額の拡充や、患者数等に応じた助成率の引き上げが必要との認識も示した。
現在、未承認や適応外の医薬品を使用するには、治験や臨床研究に参加できない場合、個人輸入するしか手段がない。ただ、個人輸入だと、安全性の問題が懸念されるため、薬害肝炎検証検討委員会が、欧米のコンパッショネート・ユースのように、人道的使用を例外的に認める枠組みの構築を提言していた。政府の規制・制度改革対処方針でも対応が求められている。
厚労省は新制度について、「倫理性や安全性の確保に加え、副作用報告等も含めて適正な管理を行うべき」と指摘。「企業による承認取得のための開発を阻害しない制度」「患者、医師(医療機関)、企業がそれぞれ応分の負担やリスクを受け入れ、相互に協力できる制度」を目指すという。
また、個人輸入薬を、より適切に管理する方策も探る考えを示した。
このほか、医療上の必要性の高い医薬品の開発を、早期から支援するため、希少疾病用指定制度の柔軟運用や、開発者を幅広く支援する「法的措置を視野に入れた新たな制度」を検討課題に挙げた。