日本製薬工業協会は、東証1部に上場する製薬協加盟26社の2011年3月期決算(連結)の概況をまとめた。売上高は、主力品の特許切れや円高のマイナス影響を受けたが、国内売上の伸びで吸収し、増収を確保した。しかし、利益面では、売上原価や販管費の増加、東日本大震災などによる特別損失が拡大し、営業利益、経常利益、純利益はいずれも減益となった。
売上高全体は、前期比1・4%増の8兆2850億円。増収18社、減収8社となった。海外売上は、企業買収による売上増が寄与したものの、主力品の欧米特許切れと円高のマイナス影響が大きく、1・1%減の3兆1318億円と減収になった。
一方、国内売上は、薬価改定の影響を受け、長期収載品が減少し、抗インフルエンザウイルス薬の大幅な落ち込みもあったが、新製品や新薬創出加算品目を中心に伸長し、3・0%増の5兆1532億円と増収を確保。海外の減少を国内でカバーし、売上高全体では増収となった。
営業利益は、売上原価率が上昇したことに加え、ライセンス導入や企業買収などの積極的な投資により、研究開発費と販管費が増加し、3・7%減の1兆2987億円。増益12社、減益14社となった。また経常利益は、4・1%減の1兆3198億円。純利益は、東日本大震災の影響による特別損失221億円を計上したほか、海外子会社の事業構造改革などによる減損などが響き、6・6%減の8063億円となった。
12年3月期の業績見込みは、事業再編や主力品の特許切れ影響を国内外の売上増でカバーし、売上高は0・3%増の8兆1241億円と微増収。経常利益は販促費や研究開発費の増加を見込み、5億円減の1兆2844億円と微減益を予想している。ただ、純利益は、今期発生した特別損失の影響が減少することから、1・5%増の7958億円と増益を見込んでいる。