東日本大震災によって、少なくとも岩手、宮城、福島の3県内にある病院の8割に当たる289施設が一部損壊し、11施設が全壊していたことが分かった。診療所は医科、歯科を合わせて1007施設が一部損壊し、167施設が全壊した。厚生労働省医政局が社会保障審議会医療部会に報告した。
全壊した病院は岩手が4施設、宮城が5施設、福島が2施設。一部損壊は岩手が58施設、宮城が123施設、福島が103施設だった。
3県の病院で被災直後に外来を制限したのは160施設で、外来の受け入れが不可能になったのは45施設。入院を制限したのは107施設で、入院の受け入れを止めたのは84施設となっている。
診療所については、全壊が医科で岩手14施設、宮城67施設の計81施設に上り、福島はなかった。歯科は岩手で22施設、宮城で59施設、福島で5施設の計86施設が全壊した。一部損壊は医科で計402施設、歯科で計605施設。受け入れを制限した医科診療所は、外来が44施設、入院が13施設で、80施設が受け入れを止めた。
このほか厚労省は、震災後のレセプト状況なども部会へ示した。それによると、社会保険診療報酬支払基金へ提出した3月診療分レセプト件数は、前年同月に比べて宮城の25・7%減、福島の22・7%減、岩手15・8%減をはじめとして、茨城、青森、栃木の各県で落ち込んだ。このうち調剤は宮城22・1%減、福島17・8%減、岩手13・9%減となっている。
また、被災に関係するレセプト件数は、3月診療分4万0862件、4月診療分13万3973件の合計17万4835件だった。阪神・淡路大震災後3カ月の12万5176件を2カ月間で超えた。なお、一部負担金が猶予された被災患者のレセプトは、全47都道府県の医療機関から提出されており、総額5億6359万円が支払われた。