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【11年版特許行政年次報告】DDSの研究強化提言‐癌、ワクチンなどを重視

2011年7月11日 (月)

 特許庁の2011年版特許行政年次報告書「産業財産権の現状と課題」によると、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の日米欧中韓への特許出願は、米欧国籍が8割近くを占め、日本国籍は1割程度にとどまる。ただ、米欧は00年の一桁代前半から減少しているのに対し、日本が05年まで増加し、近年は中国が伸びているとして、「(日本の)DDSに関する知的財産権確保の継続と研究の強化が必要」と提言している。特に癌とワクチンのDDS開発やバイオマテリアルを用いた再生医療誘導研究を求めている。

 報告書は、第3期科学技術基本計画の推進分野の知財活動を分析し、ライフサイエンスでは▽DDS▽先端癌治療機器▽幹細胞関連技術――を取り上げた。

 DDSについては、日米欧中韓への出願件数が00年から05年まで年間3500~4000件で推移し、国籍別シェアは米国が44・1%で最も高く、欧州が28・6%を占め、日本は9・3%にとどまるのが現状だ。

 95年から08年までの出願人別の件数は、ジョンソン・エンド・ジョンソンが最多の1217件、次いでファイザーの655件と米国勢が続き、以下、ノバルティス490件、グラクソ・スミスクライン472件、アストラゼネカ404件、バイエル337件と欧州が追いかけ、日本は武田薬品の296件が7位に入った。

 米国の2社は中国への出願を除いて、米欧日韓のいずれもトップ2位を独占。日本への出願は富士フイルムホールディングスが4位、武田薬品が5位だった。

 先端癌治療機器では、放射線治療装置、内視鏡下治療装置、DDS関連装置、治療支援装置などの状況を整理した。01年に897件だった出願件数は、06年の1550件へ1・7倍へ増加。国籍別シェアは米国が51・5%、欧州21・8%と米欧で7割を占め、日本は15・1%、中韓は2~3%となっている。

 出願人別の状況では、米ボストンサイエンティフィックの414件が最も多く、次いで欧州勢のシーメンスが212件で続き、日本の日立製作所が189件で3位につけた。

 日本への出願は多い順に日立製作所、東芝、ボストンサイエンティフィック、三菱電機、東芝メディカルシステムズ、オリンパス。

 日本が今後進むべき方向性性として、「海外、特に市場拡大が著しいアジア地域に向けた、地域ごとの実情に合わせた戦略的で積極的な特許出願と、知的財産権保護のための日米欧でのさらなる連携強化が重要」と指摘している。

 幹細胞関連技術はメカニズム解析、機能の制御、産業応用に必要な技術などの状況を見た。08年までに年間2067件まで伸び、04年以降の国籍別出願件シェアは、米国が40・3%、欧州が19・2%、日本が17・0%、韓国9・2%、中国5・8%だった。

 出願別では、トップが韓国のソウル大学校産学協力団の91件。以下10位までは、米ジョンソンエンドジョンソン72件、米ウィスコンシン大学研究基金68件、理化学研究所64件、米カルフォルニア大学61件、米ジェネンテック60件、米セルジーン57件、シンガポールのシンガポール科学技術研究庁53件、オリンパス53件、京都大学51件と日本国籍が3者入った。

 各国への出願は、欧州では米国籍が健闘しているが、その他の国では自国籍の出願が上位を占めている。

 今後、産業化を実現するために「体制を整備し、大学・研究機関から独創的な研究に基づいた海外でも通用する真の競争力のある特許を生み出すと共に、産業化への橋渡し役を担うベンチャー企業の育成を図ることが必要」としている。

医薬品で高い知財活動費

 産業財産権全体の動向も解説している。

 国内では、これまで年間40万件を超える水準で推移してきた特許出願件数が、06年以降に漸減傾向へ転じ、10年は大きく落ち込んだ09年とほぼ同じ34万4598件となった。景気の影響と出願を厳選し、質の高い出願を目指す特許戦略を採用するようになってきたことなどが要因と考えられる。

 一方、特許協力条約に基づく国際出願「PCT出願」の件数は、市場のグローバル化に伴って順調に増加し、03年以降は米国に次ぐ世界2位を維持し、10年は前年比7・6%増の3万1524件だった。中国のPCT出願は、10年に前年比1・5倍増の1万2296件に達し、韓国を抜いて独に次ぐ世界4位となった。

 また、国内企業の知財活動の状況も紹介している。それによると、10年度における知財担当者の平均は3・6人で、業種別では電気機械製造業が11・3人と多く、医薬品製造業も6・9人と平均を大きく上回った。特許・実用新案の出願件数は、最多が輸送用機械の155・6件で医薬品は14・0件だった。

 知財活動費は、09年度の1社平均で93・7万円となり、医薬品は340・1万円と電気機械の378・9万円と並んで最高水準だった。費用の内訳は、権利の取得や維持などの出願系費用と人件費が多いのが一般的だが、医薬品の場合は、出願系、人件費、補償費など以外の費用の割合が多い特徴が見られる。

 特許権の利用率は、平均49・8%に対し、医薬品は42・3%とやや低かった。

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