大日本住友製薬の多田正世社長は4日、都内で記者会見し、認知症治療薬「アリセプト」の後発品を販売することについて、「後発品は精神神経(CNS)領域に限定して手がけ、アリセプトのほかにもCNS領域の後発品が出てくれば、投入を考えていきたい。後発品を何でも手がける発想ではない」との考えを示した。また、強化する癌領域への取り組みにも言及。「長期的な視点で取り組み、自社開発をベースとし、10~15年単位で育て上げるのが基本。ただ、選択肢の一つとして、製品導入や買収も考える」と方針を述べた。
同社は、7月15日付でアリセプト後発品の製造販売承認を取得。全国4地域のCNS営業部にエスタブリッシュグループを新設し、後発品の販売促進を進める方針を打ち出した。
多田氏は「CNS領域をやる以上は、それなりの品揃えが必要。MRの効率的活用という視点もある」と背景を説明。「われわれがオリジンメーカーではないが、他社の製品を正しく理解し、アフターケア体制もしっかり固めて、後発品の販売を進めていきたい」と語った。その上で、「他にもCNS領域で後発品が出てきた場合は、アリセプトに限らず投入を考えたい。何でも手がけるという発想ではない」と述べ、CNS領域に特化する姿勢を強調した。
一方、同社は6月に「オンコロジー事業推進室」を設置し、癌領域の強化にも乗り出した。ただ、現段階において開発段階にあるのは、骨髄異形成症候群(MDS)を対象としたペプチドワクチンで、中外製薬と共同で国内第I/II相試験中の「WT4869」などにとどまる。
多田氏は、「癌領域は長期的な視点で取り組みたい。すぐに大型買収を行うような戦略は考えておらず、自社開発をベースに、10~15年単位で育て上げたいというのが基本」としながらも、「会社のモチベーションを含め、医療そのものが維持できないので、製品導入や買収は当然、選択肢の一つとして考える」との方針を示した。