日本薬剤師会は、「保険調剤の動向2010年度調剤分(全保険・速報値)」を発表した。処方箋受取率、いわゆる医薬分業率は63・1%で、初めて60%の大台に乗った前年度よりさらに2・4ポイント上昇した。都道府県別では70%以上の県が10県と二桁に上り、秋田県では初めて年度でも80%台を達成した。
調剤件数は5億4520万3847件(前年度比4・3%増)、処方箋枚数は7億2939万3917件(3・9%増)、調剤金額は5兆7591億7748万円(3・6%増)と、いずれも前年比でプラスが続いている。
都道府県別で70%以上を超えたのは、80・8%の秋田を筆頭に、神奈川(77・1%)、佐賀(74・6%)、新潟(74・3%)、宮城(73・8%)、北海道(72・9%)、東京(72・6%)、沖縄(71・4%)、手(71・2%)、青森(70・6%)の10都道県になった。40%未満は前年度と変わらず、和歌山(39・3%)、福井(32・6%)の2県。
三浦洋嗣常務理事は、分業率が順調な進展を見せていることについて、「地域で一人ひとりの薬剤師が努力した成果が現れた数字だ。国民の中に医薬分業が浸透し、それが処方側にも理解されてきている結果」と評価した。
全体の傾向で見ると、件数、枚数、金額の3指標いずれも、伸びに鈍化が認められるものの、年度を通して前年比を割り込む県はなかった。
ただ、1枚当たり金額、1件当たり金額などは微減している。1枚当たり金額を見ると、全国平均は前年度より0・3%減の7896円となり、この10年間では初めての減少となった。1件当たり金額は0・7%減の1万0563円だった。