薬事・食品衛生審議会医薬品第一、二部会は、次の6件について希少疾病用医薬品の指定を決めた。国内患者数5万人以下、医療上の必要性、開発の可能性の観点から妥当と判断した。
▽ruxolitinib(ノバルティスファーマ)=効能・効果に予定する骨髄線維症は、対象患者数が約1500人と推定されている。国内既承認薬は、貧血に対する対症療法として使用されるテストステロンエナント酸エステル製剤のみで、治癒が期待できるのは、同種造血幹細胞移植しかない。同剤は海外臨床試験で効果が示唆され、日本を含むアジア地域での国際共同第II相試験が予定されている。
▽オファツムマブ(遺伝子組み換え)(グラクソ・スミスクライン)=効能・効果に予定する慢性リンパ性白血病(CLL)は、患者数は約2000人と推定されている。国内既承認薬はフルダラビンやシクロフォスファミド等があるが、延命効果が検証された治療薬はない。同剤は欧米で承認され、国内では再発・難治性CLLの第I/II相試験が実施され、未治療のCLLの第I相試験が計画中。
▽ヘミン(シミック)=効能・効果に予定する急性ポルフィリン症の発作は、患者数が330人と推定されている。適応外でブドウ糖の大量投与が行われているが、重度の発作に対してはほとんど有効性が示されておらず、麻薬性鎮痛剤等の投与も行われているが、対症療法のみ。海外の臨床試験で重度の発作が投与数日で消失しており、海外29カ国で承認済。国内第I/II相試験を実施している。
▽BIBF1120(日本ベーリンガーインゲルハイム)=効能・効果に予定する特発性肺線維症は、患者数が約1万5000人と推定されている。一般的にステロイドと免疫抑制剤の併用療法が行われているが、十分な臨床的エビデンスが得られていない。抗線維化薬が上市されたが、対象患者が限られている。同剤はチロシンキナーゼ阻害薬で、海外第II相試験で効果が示唆され、国内では第III相国際共同試験を実施している。
▽テトラベナジン(アルフレッサファーマ)=効能・効果に予定するハンチントン病に伴う舞踏運動は、患者数が約800人と推定されている。欧米等で承認され第1選択薬となっている。国内ではハンチントン病を適応とする治療薬はなく、抗精神病薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系薬剤を対症療法として適応外使用している。同剤は国内で第III相試験、長期投与試験を実施している。
▽リオシグアト(バイエル薬品)=効能・効果に予定する慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、患者数が特定疾患医療受給者証所持者で1105人。手術や適応外の薬物治療が行われているが、有用性の評価は定まっておらず、同症の適応を持つ薬剤は国内外に存在しない。同剤は新規作用機序を持ち、日本を含めた第III相国際共同試験を実施している。