健康保険組合の2010年度決算見込みを足し合わせると、経常収支が過去2番目に悪い4154億円の大幅赤字となることが、健康保険組合連合会の集計で分かった。ただ、全体の3割近い組合が保険料率を引き上げたほか、年間賞与が上昇して保険料収入が増えたため、最悪だった前年度に比べると、収支は1080億円改善した。それに伴って、赤字組合の数も減ったが、依然として全体の8割弱は赤字となっている。
集計は10年度末時点で存在した全1458組合が対象。解散などで前年度末から15組合減った。被保険者は20・5万人減の1564・5万人、被扶養者は9・0万人減の1413・8万人だった。
保険料率を引き上げたのは、過去最多の415組合で、平均料率は7・67%へ0・22ポイント上昇した。また、平均月給が前年度を1681円下回ったものの、平均年間賞与が3万4977円増えた。その結果、全組合の保険料が総額6兆1404億円と2・90%増加し、収入合計は6兆2854億円となった。
支出では、加入者数が減少したにもかかわらず、法定給付費の総額が3兆4449億円へ3・01%増加した。しかし、高齢者医療への拠出金等が前々年度分の精算によって、2・83%減少して2兆6419億円となったことで、支出合計は前年度とほぼ同水準の6兆7008億円だった。
拠出金等が保険料の4割強を占め、法定給付費を合わせた義務的経費を保険料収入で賄えない組合が全体の約半数に上るため、健保連は「拠出金等が組合の大きな負担になっている」と指摘している。
なお、被保険者1人当たりで収支状況を見ると、保険料39万2482円など収入合計40万1750円に対し、支出は法定給付費22万0194円、拠出金等16万8867円など合計42万8300円で、2万6551円の赤字。
健保連は現状を「引き続き組合財政は逼迫している」と分析し、東日本大震災の影響などで、11年度は赤字幅が予算で見込んだ6089億円から拡大すると予測。12年度については、「医療費や高齢者医療制度への拠出金が増加すると見込まれ、加えて診療報酬・介護報酬の同時改定によっては、さらに厳しい状況に陥ることが懸念される」としている。