財政制度等審議会財政制度分科会の28日、森田朗中央社会保険医療協議会会長、中川俊男日本医師会副会長、亀田隆明医療法人鉄蕉会理事長らから意見を聴取し、診療報酬改定の方向性について議論した。終了後に会見した吉川洋分科会長(東京大学大学院教授)は、「(診療報酬全体)上げることは国民の理解が得られないという意見が何人かいた」と述べ、ネットプラス改定の容認論が分科会側から出ていないことを明らかにした。
吉川氏によると、森田氏は次期改定をめぐり、中医協で診療、支払の各側が意見を出しているものの、現時点で中医協としての考えを報告する状況にないと説明した。また、中川氏は前回改定が大規模病院に手厚かったことを踏まえて次期は診療所、中小病院への重点配分の必要性を強調した。亀田氏は医療産業が経済成長や雇用創出に寄与するため、マイナス改定を避けるべきと論じた。
一方、分科会側からは、外来医療費が他のOECD諸国に比べて高いことに対する問題認識や、当面の診療報酬引上げによって中長期的な社会保障の持続可能性を損なう可能性を指摘する意見が出たという。