経済産業省は11月29日、産業構造審議会新産業構造部会に、日本再生戦略に関するこれまでの議論の中間整理を提示した。医療・介護、健康関連のヘルスケアやエネルギー、農業・食品などを、産業空洞化対策の重点産業と位置づけ、規制緩和や税制優遇を実施することなどを盛り込んでいる。中間整理を踏まえ、予算・税制などで対応可能な項目については来年度予算案への反映を検討するほか、今後は実現に向けた具体的な政策を検討し、国家戦略会議が来年半ばに策定する再生戦略への反映を目指す。
中間整理では、国内の潜在需要を掘り起こし、新たな内需型産業を拡大すると共に、国際分業の中で付加価値で競争できる新しい製品やサービスを生み出し、アジアで上げた収益を国内に還流する仕組みを整備することで、中小企業の活性化や安定的な雇用の場の確保につなげ、「八ヶ岳構造」の産業構造を実現すべきと指摘。
具体的には、医療や子育てなどの「ヘルスケア産業」、節電技術などの「新エネルギー産業」、食やアニメなどの「クリエイティブ産業」を産業の柱として挙げ、需要を掘り起こすための規制改革や政策資源の集中投入を行い、「攻め」の空洞化対策を講じることが必要としている。
ヘルスケアの分野では、生活習慣病や老人ホーム待機者数の増加に伴い、リハビリなどの健康サービス、在宅生活支援サービスへのニーズ拡大、高性能の医療機器を安価・安全に使用するニーズの拡大が見込まれるため、医療周辺サービスで2020年までに新規市場約50兆円、新規雇用284万人を目指すと共に、医療機器で15年までに約25兆円の世界市場規模に拡大する目標を掲げている。
今後の施策の方向性として、▽ヘルスケア産業プラットフォーム(仮称)の創設▽医療機関と民間事業者の連携等の促進▽公的保険外の医療・介護周辺サービスの拡大▽医工連携による医療機器の開発支援▽薬事法の運用改善▽再生医療発展のための適切な規制・制度の整備――を挙げている。