厚生労働省が2010年度における市町村国民健康保険の財政状況について、速報集計をまとめた。それによると、収入不足を補うために市町村の一般会計から総額3583億円を繰り入れるなど、依然として厳しい財政運営が続いていることが分かった。
国保の被保険者数は、企業の退職者やその家族などが増加した一方で、その他が減少し、前年度より19万人少ない3548万人だった(東日本大震災で被災した2市町村を除く)
保険料の収納率は0・59ポイント増の88・60%で、後期高齢者医療制度の創設以降で初めて上昇した。市部、町村部など人口規模別に見ても全てが改善しており、厚労省は「収納率の低下に歯止めがかかった」としている。
しかし、所得の減少に伴って保険料の金額水準が低下した影響で、保険料収入は2・1%減少した。
ただ、75歳未満高齢者が多く加入することによる交付金や都道府県の支出金が増えたほか、市町村の一般会計からの繰入金が拡大して、収入総額は13兆1253億円へ1・7%増加した。
支出は、後期高齢者支援金が8・0%減ったものの、保険給付費が3・2%、介護納付金が6・2%それぞれ増加し、総額1・4%増の12兆9900億円となった。
収支差額は1353億円の黒字だが、基金の取り崩し・積み立て、前年度繰り越し・繰り上げなどを除くと294億円に縮小。さらに、国庫支出金精算等を加えると611億円の赤字となり、決算補てんのための一般会計繰入金を除いた場合の赤字幅は3900億円にのぼる。