内閣官房の医療イノベーション推進室(室長:松本洋一郎東大副学長)は、政府が5月にも策定する「医療イノベーション5か年戦略」の目玉となる、いわゆる“創薬支援機構”構想について、新たな組織を新設せず、医薬基盤研究所を司令塔としたオールジャパンのネットワークを構築して対応する方針を固めた。関係省庁の副大臣らが23日に開いたイノベ会議幹事会へ提出した5か年戦略中間報告(案)に盛り込んだ。現段階で具体的な枠組みや制度改正の有無は流動的だ。
創薬支援機構の構想は、アカデミアの基礎研究が臨床応用へなかなかつながらない「死の谷」を乗り越えるための推進母体として、昨年5月にイノベ推進室が打ち出していた。現在でも産学の橋渡し機能を担う公的機関はあるものの、情報が分散していたり、予算配分の調整が不十分といった問題があった。
当初は新組織の立ち上げも視野に入れていたが、既存の組織を活用する方向に収束してきた。
この日の幹事会でイノベ室は「関係省庁の協力により、基盤研が中心となる関係機関等による創薬支援ネットワークを構築する」とした。アカデミアが持つ日本発のバイオ医薬品シーズを実用化するための支援もネットワークの役割の一つに位置づけた。