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GE薬促進、適正な医療提供の観点で

2012年04月27日 (金)

 2002年度から段階的にジェネリック医薬品(GE薬)の使用促進施策が打ち出されて10年目に突入する。政府目標である12年度末の数量ベース30%以上達成に向け、最後の年となったが、業界筋では「30%達成は難しいが、引き続きGE薬市場は伸長していく」との見方が大勢を占めるようだ。

 そうした中で、4月からの診療報酬改定で打ち出されたGE薬の使用促進策で、最もインパクトがあるとされるのが薬剤服用歴管理指導料(41点)の算定要件として、GE薬の先発品との価格差や在庫情報等を、患者に文書で情報提供することが新たに加わった点だろう。

 薬局では経営的にも薬歴管理指導料の算定は外せない一方で、GE薬に関する情報提供により、患者側は差額等、自己負担の金額を確認してGE薬を選択する流れにもつながる。このため、GE薬については、従来の薬局主導から、患者側が能動的に選択する方向に切り替わり、患者の薬剤コスト意識の高まりとも相まって、使用促進がさらに加速するとの見解もある。

 また、処方元である医療機関の一般名処方加算(2点)も4月以降大きく動いている。医療コンサルティングのネグジット総研が、薬局薬剤師200人を対象に実施した緊急調査結果でも、改正前には4割だった薬局での一般名処方受付経験が、すでに約9割にまで高まっているとの実態も分かった。こうした現状もあり「一気ではないが、じわじわと伸び続け、年度末には27%程度には高まると思う」と、今年度のGE薬市場の動向を見通す声もある。

 さらに、診療報酬上の施策以外にも注目すべきは、厚生労働省が先月末に、後発品の品質等に対する医療従事者らの不安を払拭するために、国の科学的見解を11項目にまとめたQ&A「ジェネリック医薬品への疑問に答えます」を公表したこと。従来、厚労省はGE薬使用促進の予算措置や、アクションプログラムなど対メーカーを含めた環境整備といった施策には取り組んできたが、GE薬そのものに対する国の見解を公式には示していなかった。

 また、GE薬の品質、特に添加剤の違いなどを不安視する医師や薬剤師が少なくないことも使用に拍車がかからない一因だっただけに、この“お墨付き”の存在が、大きなインセンティブとなる可能性もある。

 GE薬使用促進は、逼迫する医療保険財政をどう効率的に運用していくかという医療経済的な側面からスタートした。この10年間の施策によって、GE薬を取り巻く環境は、医療従事者のみならず、患者への浸透度も含めて格段に進展したと言えよう。

 今年度内の数量ベース30%以上という目標は掲げられてはいる。そのGE薬市場拡大と共に、GE薬メーカーの果たすべき役割と責任も増大する。

 その意味では、数値目標達成のみに目を奪われることなく、患者に公正で適正な医療を提供できる体制の整備が、まず何より求められることになる。



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