8月に一般公開されるスーパーコンピュータの「京」は、桁違いの計算処理能力を武器に、創薬分野で実用化への期待が高まっている。京の実力が十分に発揮できれば、コンピュータ上で実験と同等の精度で化合物を絞り込むインシリコ創薬の加速につながりそうだ。スパコンを活用した創薬で、東京大学先端科学技術研究センターと共同研究を行う富士通バイオIT事業開発本部IT創薬推進室の松本俊二氏は、「創薬は試行錯誤の連続であるため、様々な検証プロセスを試せる京のマシンパワーが使えるのは大きい」と話す。
京を創薬で使う利点は二つある。一つが大量のCPUを使って高速計算することで、高精度に予測が行えるというものだ。標的蛋白質の動態について、コンピュータ上で体内環境そのままに再現でき、蛋白質と化合物が結びつくエネルギーの強度を高精度に予測できるため、実験なしで薬剤の作用部位を探し当てることも可能になる。現在使用されているスパコンは、コンピュータ上での予測と実際の実験結果に差が出てしまうなど精度を欠いていた。
* 全文閲覧には 薬事日報 電子版 » への申込みが必要です。