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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】かもめ薬局北里健康館(高園産業)

2012年07月30日 (月)

タブレット端末で在宅支援‐情報共有と業務負担の軽減図る

かもめ薬局北里健康館

 関東を中心に21店舗を展開するトライアドジャパンでは、需要が増え続ける在宅医療に対応するため“在宅専門薬剤師”による在宅支援チームを立ち上げ、輪番制で24時間の臨時処方にも対応している。輪番制ではいかに情報共有するかがポイントだが、タブレット型端末を用いた情報共有と、報告書作成にかかる時間短縮などを実現し、業務の効率化と共に薬剤師の負担軽減を図っている。

 同社が展開するかもめ薬局北里健康館(神奈川県相模原市)は2000年、北里大学東病院前にオープン。開設当初から無菌製剤室を完備するなど、地域のかかりつけ薬局として在宅医療にも力を入れている。また、さらに在宅を充実させるため、店舗に属さない“在宅専門薬剤師”を約4年前から設置。同社全体で7人の在宅専門薬剤師が活躍している。

 かもめ薬局北里健康館は1階が外来の保険調剤部門、2階は在宅専門の調剤室となっている。処方箋枚数は月平均4000~5000枚。常勤薬剤師12人。2階には3人の在宅専門薬剤師が所属し、在宅支援チームとして活動する。

在宅専門薬剤師を設置‐臨機応変な対応が可能に

 同社の基本方針は、“薬剤師全員が在宅に取り組む”ことだ。専門薬剤師がいなかったり、無菌調剤設備のない店舗でも、全ての薬剤師が在宅に対応するのが基本だ。しかしながら、在宅医療では臨時の処方や往診同行、休日夜間対応など、通常の保険調剤を行いながらでは、対応困難なケースも多い。

右から佐藤、大河内、野田の各氏

 そこで、より機動的、臨機応変に対応できる在宅専門の薬剤師チームをつくったわけだが、佐藤幸栄企画推進室室長は「今では地域医療にとって、なくてはならない存在になっている」とし、改めて薬剤師が在宅で活躍するニーズの高さを感じるとした。

 医師が在宅の応需薬局を選ぶ際、往診同行に対応可能かどうかが基準の一つになることもある。佐藤氏は「医師は訪問先で処方することもあるため、その時に薬剤師がいることで、医師からの薬に関する問い合わせに対して即座に対応でき、薬剤師からの処方提案もできるため、患者により質の高い医療を提供することができる。また、信頼関係の構築にもつながっている」と話す。

 現在訪問している患者数は、約1500人に上る。在宅訪問では、薬歴のほかに薬剤師の訪問計画書、医師およびケアマネージャーへの報告書提出など、記録に関する業務割合が大きいという特徴がある。

 在宅支援チームの大河内貴浩氏は「在宅を行う薬剤師は、一般の企業でいう営業職のように、1日の大半を外で過ごす。パソコンの前に座って報告書を作成する時間はほとんどなく、必然的に業務を終えて店舗に戻ってから、時間外に作業することが増えてしまう」とする。

在宅現場知る薬剤師が開発‐システムに込められた願い

タブレット型端末でどこでも患者情報を閲覧

 そこで高園産業の訪問薬局支援システム「P-pass」を導入。在宅支援チームの薬剤師全員がタブレット型端末を持つことで、いつでも、どこでも患者情報を閲覧し、すばやく記録に残せる環境を整備した。大河内氏は「患者宅から車に戻り、その場で最低限のメモを残したり、時間があればフォーマットの確定、登録までできる。そうすれば店舗に戻ったときにはすでに記録はできていて、あとは確認作業だけでよい」とし、移動の合間の細切れ時間を有効に活用することで、業務時間の短縮を実現できるという。

 「P-pass」導入のもう一つの目的は、“情報共有化”だ。在宅では休日や夜間帯の臨時処方があり、薬剤師の負担になっていた。そこで休日夜間は、在宅専門薬剤師による輪番制を採用。特定の薬剤師に負担が偏らないよう工夫した。その際に問題となったのが、患者情報の共有だ。

 在宅支援チームのチームリーダー野田和多流氏は「患者ごとに、調剤方法や訪問上の留意点など気をつけるべき点がある。ミーティングによっても共有するが、細かな点まで引き継げない。それまでは当番の薬剤師が店舗を開けて、レセコンを立ち上げ患者情報を確認していたが、端末一つですぐに患者情報を確認できるようになった」と話す。店舗に端末を置くことでミーティング時間も削減でき、報告書の作成時間短縮と合わせて、残業時間の明らかな短縮も図られたという。

 同薬局が「P-pass」を採用した最大の決め手は、現場で在宅医療を行う薬剤師が開発に関わったこと。在宅医療は24時間いつでも対応が求められる過酷な状況だ。薬剤師が疲弊する様子を見て、なんとか改善したいとの思いが、P-passには込められている。超少子高齢化で今後さらにニーズが拡大する在宅医療に、薬剤師が参加する際の、強力な武器となってくれるだろう。

高園産業株式会社
http://www.solno.co.jp/



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