癌医療充実と並行し議論継続を
抗癌剤等による副作用被害の救済制度の実現方法を探ってきた厚生労働省の有識者が、現時点での制度創設について「具体的に判断することは容易でない」とする最終報告「基本的な考え方の整理」を取りまとめた。どのような利益侵害に対する救済を目的にするのかといった根本的な考え方が整理できないほか、仮に導入した場合、医療の萎縮を招いたり、製薬企業が抗癌剤開発に消極的になる懸念があることが理由。将来的な導入の道を残し、政府に検討の継続を求めた。また、副作用被害の減少や有効な抗癌剤の迅速な提供など癌医療を充実させる重要性も指摘した。
現行の救済制度では、抗癌剤の多くが除外医薬品に指定されている。副作用リスクを患者が受け入れて使用することが前提にあるためだ。しかし、薬害肝炎検証・検討委員会が2010年4月の最終提言で「不幸にして健康被害に遭った患者の救済のあり方を検討する必要がある」と問題提起した。翌11年初めに細川厚労相(当時)がイレッサ訴訟への対応の中で具体的な制度の検討を明言し、6月に検討会が立ち上がった。当初は年内の取りまとめを目指したものの、今夏まで延長した。
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