TOP > HEADLINE NEWS ∨ 

皮膚細胞からES類似細胞を樹立

2007年04月11日 (水)

山中伸弥氏
山中伸弥氏

 マウスの皮膚細胞に転写因子を導入する操作を加えると、ES細胞に類似した能力を持つ万能細胞を作り出せることを、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥氏が医学会総会で報告した。山中氏はその細胞を「人工万能性幹細胞」(iPS細胞)と命名。今後は、ヒト細胞から同様の細胞が作り出せるかどうかが焦点になるとし、もし可能になれば、肝細胞や膵細胞を分化誘導させることによって、新薬開発時の薬効や毒性評価に活用できると語った。また、安全性の課題を解決できれば、細胞治療にも応用できると期待を示した。

 山中氏らはこれまで、[1]移植後の拒絶反応[2]ヒト胚を利用することに対する拒否反応””というES細胞利用の問題点を克服するため、患者の体細胞からES細胞に類似した万能細胞を作り出す研究を進めてきた。

 ES細胞と体細胞では遺伝子は同じだが、発現する蛋白質が異なることに着目。蛋白質の発現を上流で制御する転写因子の働きを調べ、ES細胞で働いている各種の転写因子を同定した。そのうち、▽Oct3/4▽Sox2▽c-Myc▽Klf4””という4種を、マウス皮膚細胞にレトロウイルスで導入し、強制的に機能させて、ES細胞に類似したiPS細胞を作り出すことに成功した。

 調べてみるとiPS細胞は、形態、増殖能、遺伝子発現、分化能などの面でES細胞とほぼ同じ機能を持っていた。これらの結果から山中氏は、「iPS細胞は、少なくともマウスでは、ES細胞にほぼ匹敵する万能性を示すことが分かった」と報告。ES細胞の課題を克服できる上、「わが国発の技術であり、海外に高い特許料を支払う必要がないという点でも優れている」と語った。

 ただ、「この技術はまだこれからの技術」とし、「マウスで成功するだけでは役に立たない。ヒト細胞で同じことができるかどうかが最大の問題」と強調。ヒト体細胞からiPS細胞を作成するには、「4種の転写因子だけでは難しく、プラスアルファの因子が必要であることが分かってきている」と研究の現状を紹介した。



‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術