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10月にもHOYAと合併することで基本合意していたペンタックスは10日、合併問題に関し臨時取締役会を開き、「現時点では合併は断念せざるを得ない」と決議し、合併合意を白紙に戻すことにした。ただ、今後もHOYAと「広い意味での経営統合」の検討は継続するとした。これに伴い、ペンタックスは社長を浦野文男氏から取締役上級執行役員の綿貫宜司氏に交替、仕切り直す。HOYAも同日臨時取締役会を開き、決議はしなかったものの、TOBを含め「最終的な経営統合に向け検討を続ける」ことを確認した。
両社の合併は、成長分野である医療機器事業の拡大が狙いの一つにあった。しかし、ペンタックス側は「社内事情及び株主を含む社外事情を総合判断」し、今回の結論に至った。内外から合併比率が不利なことや浦野社長が社内コンセンサスを得る手法などをめぐり批判が噴出していた模様だ。
これで両社は仕切り直しとなるが、具体的な統合の形は両社とも明らかにしておらず、今後の協議も緊迫するものとみられる。
新社長となった綿貫氏は10日に都内で記者会見し、合併を断念した具体的な理由については明らかにしなかったものの、社内外の状況を踏まえ「断念せざるを得ない状況にあった」と説明した上で、経営統合については今後も協議は進めていくことを強調した。
綿貫氏は54歳。1978年に旭光学工業(現ペンタックス)に入社、95年アサヒオプティカルフィリピン(現ペンタックスセブフィリピン)ゼネラルマネージャー、97年に同社社長、00年に旭光学工業経営企画グループ経営管理室長、03年にペンタックス執行役員、04年6月に取締役上級執行役員、05年にコーポレートセンター経営企画統括部長、06年にコンポーネント事業本部長を歴任した。