日本製薬工業協会と薬卸連の合同検討チームが5月に報告書をまとめ、実施可能なメーカーから取り組むこととなった。これを踏まえ、厚生労働省から「バーコード表示実施要項」の改正通知が出された。卸は、バーコードに関する流改懇ワーキングチームにおいて、JANコード表示の併記廃止に伴い表示方法が変更される3年後までには、表示率が品目ベースで50%以上になるようメーカーに要望している。
消費税問題については、中医協に消費税分科会が設置された。仕入税額控除がないため、医薬品についても医療機関・薬局に損税があるという誤った情報が流布し、薬価差拡大要求が広がる懸念がある。償還価格である薬価には消費税相当額が加算されており、損税発生の余地は全くない。卸は、不合理な要求には安易に応ずることなく、価格交渉の場で丁寧に説明し、制度本来の趣旨どおり消費税を確実に転嫁することが望まれる。
新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立し、医療基盤を支える社会的インフラとして、パンデミック時にも医薬品を安定供給することが卸に期待されている。医薬品卸業界は、自らに課せられた社会的責任を果たす覚悟であるが、その前提として、医薬品配送業務従事者がワクチンの優先接種を受けられるよう要望している。
一方、昨年の東日本大震災時における卸の活動が評価され、東京都などの自治体の防災計画に卸の役割が適切に位置づけられた。期待される責任を十分に果たすためには、卸は合理的水準の利益を得て安定供給に必要な設備投資財源を確保しなければならない。
10月にメキシコで開催されたIFPW(国際医薬品卸連盟)総会時に日中韓の代表が集まり、情報交換のための交流事業を定期的に実施することを合意した。過去3回開催している日韓の会議に中国が参加するものである。中韓両国とも日本の医薬品流通発展の道程から教訓を得たいと熱望している。
薬卸連は新年度から、新公益法人法の新法人に移行する。新たな旅が始まる。行く手には難路が続くだろう。古人曰く。一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め。一燈とは流通改革のスピリットだ。