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有用性のエビデンス構築を

2013年2月8日 (金)

 来春の診療報酬改定に向けた動きが活発になってきた。各職能団体や学会、病院団体は、具体的な要望事項を検討している段階。春から夏にかけてそれぞれの戦略を固めていく。中央社会保険医療協議会での議論や、水面下での駆け引きが今年後半から本格化し、年末までに診療報酬改定の概要が決定する見通しだ。

 こうした中、病院薬剤師に関係する診療報酬改定の方向性については先日、滋賀県で開かれた日本病院薬剤師会近畿ブロック会議で、こんなやりとりがあった。

 会議に参加した各病院薬剤師会は、病棟ごと、個別業務ごとに病棟薬剤業務実施加算を算定可能とする方向性を要望。これに対して日病薬会長の北田光一氏は、同加算は病院全体の入院基本料についたもので、その構造を変えるのは難しいとし、理解を求めた。

 このような要望が出てくる背景には、薬剤師のマンパワー不足がある。同加算を算定するには、ほぼ全ての病棟に薬剤師を配置し、各病棟において病棟薬剤業務を週に20時間以上行わなければならない。「同加算を算定したくても十分な薬剤師のマンパワーがない」「現有のマンパワーでもなんとか算定できるようにしてほしい」。そんな願いが各病院の薬剤部に根強く存在するようだ。

 同じマンパワー不足でも、病院によって事情は異なる。多いのは、薬剤師の偏在や不足によって、薬剤師を募集しても獲得できないケース。地方の病院ほどこうした傾向が強い。その一方で、病院経営側の理解が得られず、薬剤師を増やしてもらえないというケースもあると聞く。

 後者の方が問題は深刻だ。院内で薬剤師の存在価値をもっとアピールし、人員増を果たした上で、同加算の算定へと発展させることが重要になる。それには、医療安全や病院の収益向上、医師や看護師の業務負担軽減に薬剤師がどれだけ貢献したのか、目に見える具体的な数値で示す必要がある。

 このアプローチは、既に同加算の算定に踏み切った病院の薬剤部にも求められる。病棟薬剤業務の実施前と実施後でどんな違いがあったのか。最近取材した病院では、実際にその調査を行い、様々な指標から薬剤師の有用性を明らかにしていた。

 今後、同加算による薬剤師の病棟配置がどれだけの効果をもたらしたのか、厚生労働省や日病薬による調査が行われる予定だ。それだけでなく、各病院単位でも計画的にエビデンスを構築していくべきではないか。

 同加算は現在、940以上の病院が算定していると見られる。しかし、昨年6月時点の調査では、人員増によって加算を算定している病院は約3割にとどまっていた。

 今後、院内で薬剤師の増員を実現するためにも、同加算の増点を実現させるためにも、その根拠となる説得力のある材料を自ら構築しなければならない。




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