作業時間と労力削減し本来業務に注力‐「E-Drop」(キヤノンライフケアソリューションズ)導入で達成
クラフト(株)さくら薬局池上店
「PTPシートから取り出す時間を含め、一包化調剤にかかる時間は確実に短くなりました。セットすればその場から離れられるので、他の仕事ができる。効率的な時間の利用は重要なポイント」と語るのは、東京都大田区の東急池上駅のすぐ近くにあるさくら薬局池上店薬局長の横田紘子さん。今年1月にキヤノンライフケアソリューションズの次世代錠剤供給ユニット「E-Drop」を導入しての感想だ。駅に近い住宅街に立地する同店には日々300枚を超す処方箋が持ち込まれる。高齢者比率が高く、一包化需要も多い。しかも処方の長期化により、通常10人前後の薬剤師が対応しているが、一包化業務は大きな負担であったという。
同店は地域の中核病院「池上総合病院」の大型門前調剤薬局。営業時間は、平日9時から夕方6時まで、土曜日は午後3時まで。とはいえ駅前、高齢化が進んだ住宅街といったロケーション。夕方6時過ぎの駆け込み患者も多く、定時で終わることはほとんどないようだ。
持ち込まれる処方箋も多くは池上総合病院だが、近隣の診療所の処方箋も合わせて持ち込まれるなど、「大きな店舗のわりには地域密着型です。昔からの患者さんが多いので、薬局も慣れたところがいいといって来局される患者さんが多いです」と語る。
池上総合病院は一般337床に加え療養型47床、診療科は24科を擁する。地域の高齢者比率が高いこともあり、受け付け処方箋は循環器系が多く、しかも一包化が必要なケースは少なくない。毎日20件前後の一包化処方があり、透析などの短期処方もあるが、60日あるいは90日という長期処方への対応は大きな負担だ。
横田さんによると「12種類270錠ずつなら、1時間でできれば早い方。鑑査にも時間がかかります」という。「その時間、1人薬剤師が抜けてしまう形になるので厳しいです」と、手撒き調剤の頃は、業務上大きな負担になっていたと明かす。
例えば、手撒き作業だけで30分はかかっていたものが、E-Dropでは10分もかからず終わるようになったという。「特に処方日数が長いほど、その間に他の仕事ができるようになったのが大きい。やはり時間が効率的に利用できることは非常に重要なポイント」と指摘する。
「ベテランの人はものすごいスピードでやります。しかし、あまりに続けていると本人から『そろそろギブアップです』、周りからは『そろそろ指大丈夫?替わろうか?』という声がかかります」という。1粒ずつ押し出す作用で「指が裂けてくるんです。傷だらけになって苦しかったのが今は楽になりました」と笑う。
このE-Dropの主な特徴は、PTPシート2列マルチサイズ対応、独自技術による高い除包性能、液晶タッチパネルで簡単な操作性、最大12ユニット装着可能――など。別途「バラ錠」を在庫する必要はなく、普段の調剤で使うPTPシートを薬剤ごとにまとめて装填すれば、「その場を離れることができて楽です」ということだ。
しかし、全てを機械任せにするわけではない。「一包化する錠剤の種類が多く、かつ10日以上の処方でなければ、あまりメリットはないと考えています。例えば2種類7日間なら手撒きが早い。これが5種類10日以上となればE-Dropを考えます」という。
実は、同店ではこのE-Dropの完成版に向け、実践の場での調整・モニタリングに協力してきた経緯がある。昨年5月末頃から、午前中受付、かつ夕方に取りに来るという患者さん、作り直しがきく処方日数が短いケースを対象に実践でのトライアルを繰り返し、逐次、不具合情報等をフィードバックし、改良を重ねてきたという。
当初はトラブルもあったそうだが、次第に改良・調整を重ね「E-Dropが調子が悪くて作動しない時に『困ったわ』という声が、さらに日数の長い処方では『E-Dropで良いんじゃない』と言う声に変わり、スタッフに次第に浸透していきました」という。正式には1月から、クラフトの店舗として第1号機が導入されたわけだが、既になくてはならない位置づけ、重要な戦力になっている。
横田さんは以前の店舗でバラ錠による自動分包機を使った経験があるが、包装単位が500錠、1000錠瓶という規格のため、処方が途切れると一気に不良在庫になる可能性があると指摘する。実際に「1000錠瓶を入れて、結局はロスしてしまった苦い経験もあります」と、“バラ錠”方式の課題を挙げる。一方「PTPシートなら、棚卸しもしやすく、通常の調剤にも使えます」と在庫管理の面でも有利性があると強調する。
さて同店では、周辺地域の高齢者比率が高いことから、昨年夏頃から在宅患者に対する訪問服薬指導業務に取り組んでいる。常時1、2人の患者を受け持っている。これまでに毎週訪問したというケースもあったそうで、最近も地域のケアマネなどからの依頼、相談は少なくないそうだ。
横田さんは「地元で在宅に熱心な医師の処方箋を受け、患者ご本人に話を聞くと、自分で薬を管理したいという希望が多い。しかし、きちんと飲めてない方も少なくないため、一包化することで改善されるケースも多いと思います」という。
さらにこれまでの経験から「患者宅では引き出しの中から古い薬がいくらでも出てきて、それを飲んでいたり、同じ薬がかぶっていたり、下痢なのに下剤を飲んでいたりと、在宅ですべき仕事は多いと感じています」とも語る。今後は在宅患者への取り組みにも力を入れる方向だという。
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
〈E-Drop紹介ページ〉
http://www.canon-lcs.co.jp/service/machine-healthcare/pharmacy/lineup/e-drop/top.html