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将来見据えた薬学教育改革を

2013年6月28日 (金)

 薬学教育6年制の移行に伴い、薬剤師国家試験の受験資格は、原則として6年制学部・学科の卒業者に与えられることになったが、2017年度入学者までは、基礎薬学を学ぶ4年制学部・学科に進んだ学生にも、卒業後の修士課程2年に加え、共用試験や実務実習などの臨床教育を2年間行うことで、国試の受験資格を認める経過措置が設けられている。

 この経過措置を今後も存続させるべきかをめぐり、日本薬学会が推進派の柴崎正勝会頭と反対派の遠藤浩良帝京大学名誉教授との公開討論会を開いた。

 討論会では、柴崎氏が経過措置の延長により、4年制学科で基礎研究を学んだ“多様性のある薬剤師”の育成や、基礎薬学研究の水準低下防止などの意義を強調。遠藤氏は、4年制の学生が国試の受験資格を取得するための手段は、「経過措置の存続ではなく、学士入学を用いるべき」と主張し、意見は対立した。

 6年制教育では、臨床薬学がクローズアップされているが、臨床現場では健康や病気、薬の効き目などを化学的な視点から的確に説明できる基礎薬学の知識が必要な場面はある。

 しかし、一部の6年制学科では、基礎研究に割く時間が減少しているだけでなく、教育内容が国試合格を重視したものに偏ってしまう“大学の予備校化”の指摘もある。そうした大学が増えれば、臨床現場での問題解決能力を備えた薬剤師どころか、知識偏重で臨床では評価されない薬剤師が輩出されることになってしまう。

 大学で基礎研究を学ぶ時間が減ったというのは、各大学の問題で個別に解決すべきことで、その問題に経過措置の延長が問題解決にどれだけの効果があるのか未知数な部分もあるが、柴崎氏の問題提起は、6年制と4年制の並立によって生じた、薬学の基礎研究レベルの低下という問題を浮かび上がらせた。

 12年度の厚生労働科学研究「薬剤師需給動向の予測に関する研究」(研究代表者:望月正隆・薬学教育協議会代表理事)は、「10年単位では今後、薬剤師が過剰になるとの予測について、否定できるものはない」との見通しを示した報告書をまとめた。

 これは「国試に合格してしまえば一生安泰」という時代の終わりと、免許だけの薬剤師が必要とされなくなる日が、そう遠くない将来にやってくるということを意味している。

 経過措置の存続という手段がいいか悪いかは別として、医薬品に関する高度な知識と、患者や他の医療職種とのコミュニケーションスキルの双方を備えた薬剤師の輩出は、不断に行われる必要がある。

 討論会では、両者とも質の高い多様性のある薬剤師を育成すべきという点は一致していた。そのためには、どのような改革を行うべきなのか、大学の関係者は知恵を出し合ってもらいたい。




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