毎年のことではあるが、6月に入り関係団体の総会や各社の株主総会が目白押しだ。
医薬品産業は製配販問わず、あらゆる領域で他産業に比べて高い倫理観をベースに、高度な知識と技術のほか、厳格な品質管理、リスク管理なども求められており、換言すれば業界全体がプロ集団の集まりなのである。
先週、日本薬剤師会創立120周年、日本薬業貿易協会創立50周年の記念式典・祝賀会が行われた。薬剤師は国民・患者に馴染み深い職業であり、生活の中で頻繁に接している。かたや医薬品原料の輸入を手がける企業は、日薬貿の角田秀雄会長があいさつで述べたように、患者からは遠い立場にある。
しかし、医薬品の品質確保、不良医薬品の輸入防止、原料の安定供給という役割は余人にとって代え難い重大な使命でもある。「不良医薬品は全て水際で止めてきた」「われわれの努力で国民の健康の維持増進に役立っていると自負」との言葉で、仕事に対する責任と誇りを感じられる。
プロ集団と言ったが、中でも製造に関して最もマニアックな集団の一つは、製剤機械技術学会(以前の製剤機械技術研究会)だろう。事業体会員約200社、個人会員220人超の大所帯であるが、最大の特徴は産官学が一緒になって製剤機械技術の向上における課題に取り組んでいる点であり、他にあまり例を見ない独特な組織体と言える。
10日に開催された定時総会では、2013年度の事業計画が報告された。総会・特別講演会、大会、講演会、シンポジウムの開催から、第12期を数える固形製剤教育研修会8回、第9期の無菌製剤教育研修4回、第7期となる半固形製剤研修会2回、工場見学会3回など活発な活動状況が分かる。
会誌編集、教育、GMP、国際、ホームページ、トレーサビリティなどの委員会活動も盛んである。特に、昨年度から開始されたPAT(製造工程分析技術)委員会主催による医薬品医療機器総合機構担当者を対象としたNIR(近赤外分析)研修会は好評のようで、今年度も実施要請を受けて、NIRの基礎から応用までを体験する講義と実習、今年度は基礎コースとアドバンスコースの2回開催される予定である。
さらに、新設された製剤教育ビデオ制作委員会では、製剤製造関連の装置・機器が設置されていない大学薬学部や、企業でも全ての装置・機器があるわけではない状況から、学会発足25周年事業として固形製剤の各工程、装置・機器の動きをビジュアルで理解できるビデオを制作し、大学や企業で活用してもらう。
これらの例は、産官学が一体となった製剤機械技術学会ならではの活動だ。医薬品産業は、彼らをはじめとする専門家に支えられている。成長戦略の柱にも据えられている医療、医薬品・医療機器市場を成長軌道に乗せるために、さらなる活動に期待したい。