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タミフルと異常行動、漸く因果関係にメス

2007年5月30日 (水)

 タミフルと異常行動、睡眠障害、突然死等の因果関係について、漸く臨床と基礎の両面から検討が開始された。こうした動きが始まっている中で、日本薬剤疫学会と日本計量生物学会は、“薬剤疫学”を中軸に据えて議論をするため、20日にシンポジウムを開いた。

 両学会は、昨年発表された厚生科学研究「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」(班長:横浜市立大学医学部教授横田俊平氏)の報告について、「その調査結果の一部が報道されているものの、全般的な内容が必ずしも十分には知られていない」とし、調査研究に当たった横田氏らを招いて調査研究結果の詳細を説明してもらい、次年度の調査研究に生かしてもらう――これがシンポジウムの趣旨である。この調査研究報告書と“補足集計”結果は、既に薬剤疫学会のホームページに全文掲載されている。

 報告書を読むとこの調査は、タミフルと異常行動等(随伴症状)との因果関係を明らかにするためではなく、実際は「随伴症状がインフルエンザ脳症の前駆症状なのか、インフルエンザの一般的な随伴症状なのか」を調べることを目的にしていたことが分かる。 つまり調査前には、タミフルと随伴症状の因果関係は、あまり念頭に置かれずに調査項目が設計されていた。ところが調査結果では、「随伴症状の発現時間は発熱第102病日(7日間の調査)に92%が集中しており、薬剤使用もアセトアミノフェンは第102病日に95・4%、タミフルは91・8%を使用していた」

 このため、タミフルと随伴症状を関係づける議論に発展したわけだが、これだけで両者を関係づけることはできない。また、目的が随伴症状の実態を明らかにすることにあったため、両者の関係を見るには調査方法自体に問題があり、研究班もこれらの欠陥を認識している。

 例えば、1日を朝・昼・夜などの時間帯に分類しての調査であったため、薬剤使用開始と臨床症状発現が同じ時間帯に分類しての調査となり、薬剤使用開始と臨床症状発現が同じ時間帯に起こった場合に、どちらが先か分からない。

 さらに小児科医を中心とした調査であったため、調査対象の9割が10歳以下であり、10歳代で異常行動が多発するといわれていることに対しては、無力な調査研究ということになる。

 研究班では、来年度以降の調査の課題として「発現時期が第102病日に多かったことから、調査をこの期間に限定し、異常言動の詳細な内容をコメントに記載してもらうよう適切な指示を行い、時間的経過(特に服薬との関係)を記載してもらうように調査票を修正する」と報告書に記載している。

 それにしても、厚生労働省が安全宣言とも受け取れる発言をしたのはなぜか。厚労省の“異常行動”だったのか。

 当日はほとんどの演者が、自分の“利益相反”状況を報告、入ってきた研究費が誰の手で管理されているかも公表した。シンポジウムでは、それをテーマに取り上げないことを、前提としていたにもかかわらずである。

 必要な情報はどんどん開示していくべきだ。それによって、いらぬ誤解が解け、共通認識の醸成につながる。




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