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薬剤師需給は質と表裏一体

2007年6月6日 (水)

 厚生労働省は、薬剤師需給の将来動向を検討するため、「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」を設置し、先月28日に初会合を開いた。会合では各委員から、薬剤師の資質低下に危機感を持つ意見が相次いだことから、今後の議論では、需給予測という単に数字だけでなく、需給動向と薬剤師の質質の関係が大きな論点の一つとして浮かび上がってきそうだ。

 そもそも、薬剤師の需給については、2002年にも一度、薬剤師問題検討会で予測を行い、報告書をまとめている。しかし、その後、取り巻く環境は大きく変わった。

 変化の一つは、薬学教育6年制が昨年4月からスタートしたことである。6年制は、医療人として質の高い薬剤師を養成するために始まったものだが、これにより、6年制教育を経て養成される薬剤師の社会的需要や、6年制教育導入後の薬剤師供給の動向を予測する必要が出てきた。

 さらに、この間の変化としては薬科大学・薬学部の相次ぐ新設・増設が挙げられる。前回、需給調査を行った02年時点では薬科大学、薬学部は全国で46大学、定員は8110人だったが、今年度には新設された大学等を含め、72大学となり、定員1万3164人と大きく増えた。

 これまでの傾向をみると、毎年800009000人の薬剤師が誕生しているが、今後は新設校の卒業生も国試を受験。これまで通りの合格率で推移するとなると、約1万人以上の薬剤師が数の上で誕生していくことが予想される。

 ところが、02年の需給予測の数字を見ると、10年先の13年時点での薬剤師の供給数は36万9706人、需要数は23万2327人になるとし、病院やメーカーなどに勤務する薬剤師等を含めても、13年時点で約13万人もの薬剤師の余剰が出るとされていた。少子化が進むことを考えると、薬剤師過剰となるのは火を見るよりも明らかだ。

 実際、検討会の場でも、高柳元明委員(東北薬科大学理事長・学長)から、私立大薬学部の入学試験の現状について、近年の薬科大・薬学部の新設や増設などで、入学定員数が急増したことを挙げ、「今年度は私立大学の5校に1校が定員割れを起こしている。このような状況をみると、将来、薬剤師の資質を保てるのかどうかという面で強い危機感を持っている」と強調。さらに、中西敏夫委員(日本薬剤師会会長)は、「定員割れの状況では、薬剤師の質の低下が起こるのは間違いない。薬剤師の質を上げるために6年制を導入したにもかかわらず、質の向上を期待できないという、社会的にも危機的な状況になることを危惧している」と述べ、資質低下に強い懸念を示した。

 さらに、他の委員からは、実務実習を受け入れる薬局や病院の立場からは、学生の質を担保できるのかどうかを危惧する意見も出されるなど、発言の多くは資質に関するものが占めており、関係者が強い危機意識を持っていることがはっきりと示された格好だ。

 今月29日に予定されている次回会合には、厚労省が対象期間を28年までとした、増減要因(新卒合格者数、離職・退職等)を踏まえた総薬剤師数や業務種別の薬剤師数などを算出した数字を示すなど、議論が本格化する。それだけに検討会では資質という論点も視野に入れつつ、積極的な議論をしてほしい。




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