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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】竹内薬局(ユヤマ)

2013年07月31日 (水)

一包化調剤の効率化・鑑査を強化‐「時間短縮」も大切なサービス

 東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)は、近隣の城北地域のみならず広域の高齢者を対象に医療を展開している。この6月、敷地内だが移転、装いを新たにオープンした。これに合わせて開設された「竹内薬局」では、遠距離の患者も少なくないことから、「待ち時間短縮」も患者・家族等にとって大切なサービスとの思いから、高齢者で需要が高い一包化調剤のスピードアップと同時に“鑑査”力も強化し、調剤の質的強化を図っている。

 「竹内薬局」は「竹内調剤薬局グループ」が東京・関東を中心に18店舗を展開する中で、旗艦店の一つ。同センター前の店舗としては、昭和55(1980)年に当時の東京都養育院附属病院前に1号店を出店。今回、移転に合わせ3軒目の「竹内薬局」を開設したが、30年を超える信頼、経験を積み重ねている。

 この間、高齢患者において必要性が増しているのが一包化調剤。同社でも逐次、技術進歩を取り入れてきたが、新店舗ではユヤマ製の小型全自動錠剤分包機「Litrea IIS E」(最大160カセット)2台に加え、グループ薬局として初めて一包化錠剤鑑査支援装置「TabSight」を1台導入。一包化の早さと正確さ、さらにIT技術が詰まった第3の目による「鑑査」により薬剤師負担、リスクの軽減を図った。

スタッフの皆さん(右端が薬局長の高見さん)

スタッフの皆さん(右端が薬局長の高見さん)

 敷地内での移転ではあるが東京都健康長寿医療センターの移動に合わせて4軒の薬局が新設され、病院前は既存店を含め10軒が並び、さらなる激戦区になっている。新「竹内薬局」もオープンしたばかりだが、これまでの信頼を背景に、より多くの処方箋を受けられるよう通常より多い薬剤師を配置。在庫品目は現時点で1200品目弱だが、薬局長の高見優子さんは「最終的には1500品目くらいになる」と長年の経験を踏まえ予測する。

 訪れる患者はやはり高齢者、特に70歳以上の老人が多いという。さらに「認知症を患っていたり、パーキンソン病のためうまく薬が取り出せず、飲めないという患者さんが多い。そのためどうしても一包化が必要になってくる」という。1割以上が、一包化調剤を要する。

 認知度のチェックについて高見さんは「お金の出し方」がポイントだという。「足し算して会計する方に比べ、1万円など大きな単位で払い、小銭が貯まっている方は、認知が進んでいる可能性が高い」と指摘する。これらの患者データは薬歴に反映され、薬局全体としての患者対応に活用されている。

文字サイズ拡大等、細かな心遣い必須

 一包化では処方の長期化による安定性が気になるところだが「安定性のしっかりした医薬品を出している。光に弱い薬剤は遮光袋に入れて出すなどの工夫も必要」と、自動化といっても単純にはいかないのが一包化の現状だ。

 また、文字のサイズを大きくする、希望者には服用日も印字するなどコンプライアンスの維持・向上のため細かな心遣いも必須だと語る。

 全自動錠剤分包機については「既に80カセットでの実績はあるので、ある程度、入れる薬剤は選定できたが、120種類は入れたい」という。現在はユヤマと共に対象薬剤について慎重な検証を進めている。

多剤併用に威力発揮
最終包にはバーコードが印刷され、「自動鑑査」へ情報をつなぐ

最終包にはバーコードが印刷され、「自動鑑査」へ情報をつなぐ

 薬剤数が多いほど一包化作業の時間は伸びるが、自動化技術がカバーしつつある。したがって、トータルの調剤時間を左右するのは「鑑査」となる。

 そこで薬剤師の鑑査業務補助を目的に、一包化錠剤鑑査支援装置「TabSight」(ユヤマ)も導入した。最終包に印字されるバーコードを「TabSight」に読み込ませることで連動。1包当たり1・2秒程度のスピードでチェックする。

バーコードを読み込み、鑑査をスタート

バーコードを読み込み、鑑査をスタート

 「一包化調剤で1時間待ちだった患者さんも、鑑査システム導入と合わせて、20分くらいは短縮できた」と連動システムの強みを評価する。

 同システムは高機能カメラによる事前の画像撮影と独自の画像認識技術との融合で計数、色・形状を高精度で認識する。各包ごとの判定結果は数量・薬品とも一致なら青色、疑義(類似品)ありの場合は黄色、数量・薬品違い、異物混入の場合は赤色で表示される。

最後は薬剤師が目視で確認しGOサイン

最後は薬剤師が目視で確認しGOサイン

 そして最終的な確認は薬剤師が行う。システム上、問題ある包は錠剤ごとにアラート表示され、薬剤師が目視確認できる。その判定に薬剤師はOK/NGの最終判定を下すというのが流れだ。

 高見さんは「2~3種類を1包化した薬包なら薬剤師の目で鑑査した方が早いが、機械は忙しくても慌てることなく、確実にチェックしてくれる。今後、業務の中でより効率的な活用を考えたい」と語る。

 ところで患者から薬が「ない」「1包化の中に1錠足りない」という問い合わせは少なくない。その際に保存された画像は投薬後の再確認や数量間違い時に活用している。

 中には「自宅にない!」という場合もあり、高見さんが実際に患者宅に行くこともある。「棚のすぐ上、あるいは違う袋に全てしまっていたりします。でも患者さんの目には、本当に見えないんです」と語る。今後は訪問業務も増えそうだ。

ユヤマ
http://www.yuyama.co.jp/



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