2008年に日本法人を設立し、09年から国内でCSO事業を本格展開した米インヴェンティヴ。日本市場ではCMR500人と業界第2位までに成長した。MR経験者・MR希望者を活用した臨床開発職のCRA派遣にも力を入れており、需要が高まる市販後調査(PMS)市場でのサポートを狙う。日本法人であるインヴェンティヴ・ヘルス・ジャパンのダン・フェルドマン社長に聞いた。
短期間で多くのMRを確保したい製薬会社に対し、「集客スピード」「CMRの質」「コスト対応力」の三つの要素を訴求していく。契約時に設定していたCMR数の途中変更にも対応し、製薬会社の基準に見合わないCMRについては、無料で代わりの人材を派遣している。
昨年からは、「トライ・ビフォー・ユー・バイ」というユニークな契約形態も始めた。製薬会社がCMRを使ってみて、獲得する意思があれば、契約期間終了後に正社員として雇用できるようにした。
製薬会社の採用活動をめぐっては、経験豊富なMRを獲得するために莫大な投資を行う一方で、なかなか条件に合った人材を確保できず苦労していると聞く。われわれが抱えるCMRの中から、優秀な人材がいれば、ぜひ正社員として選んでいただきたいし、それによって採用コストが抑えられることで、より一層、製薬会社との関係を強化できると考えている。
現在CMRは500人だが、年内までに700人に引き上げる予定で進めている。常時、採用活動を行っており、応募者の集客や採用方法、仕組みも整えた。MRだけでなく、昨年10月からスタートさせているCRA派遣にも力を入れていく。
国内では全般的にCRAが不足している状況にあり、インヴェンティヴが開発から市販後まで、人材を派遣していく。国内の新薬ラッシュにより、PMS業務では人材が足りていない。
PMSに求められる能力は、CRAとしてのモニタリング業務でのスキルではなく、営業・コミュニケーションスキルがより重要だと感じる。開発業務を担うCRAのモチベーションの問題もあり、CROなどでもPMS領域で人材配置できていないようだ。われわれは、MR経験者やMR希望者にPMS業務を経験させ、市販後の第IV相試験の支援につなぐキャリアプランを提案している。既にCRO3社と契約を結んだ。こうしたキャリアを身につけておくことで、MR業務にも生かされる。
インヴェンティヴの人材教育事業も本格展開する。
MR・マネージャーなどの階層別、プライマリケア・スペシャリティケアの疾患別に必要な知識・スキルが学べるメニューを揃え、米国の製薬企業向けの教育研修受託市場では、マーケットリーダーになっている。国内では上半期までに準備を行い、サービスを提供していく。
取引のある製薬会社は21社までに広がった。
ただ、やみくもに取引先を増やして業界ナンバー1を目指すのではなく、サービスの質で選ばれる会社になりたいと思う。業界環境は変化しており、MR数は減らなくても、MRの情報提供のあり方は変わっていく。製薬会社とパートナーになり、効果的な営業手法を開発していける関係でありたい。
この記事は、薬事日報2013年4月19日号に掲載された記事です。