調剤薬局チェーン大手のクオール(社長中村勝氏)は10月1日付で、関東を中心に64店舗を展開するエーベル(東京都千代田区、社長大木潤氏)と合併する。合併比率はクオール1対エーベル0.53で、クオールが存続会社となってエーベルを吸収合併する。新会社の社名もクオールで、社長には中村氏が就任する予定。
クオールは昨年10月に東京を中心に9店舗を展開する福聚(東京都新宿区)を100%子会社化したほか、今年3月には臨床検査受託大手のビー・エム・エルから保険薬局事業を譲受(北陸など6店舗)。また1月には同業のメディカルファーマシーと業務提携するなど、主力の保険薬局事業の拡大・強化を進めている。4月時点のグループ店舗数は、首都圏を中心に東北・中部・北陸・関西などに計125店舗(クオール103、ネクサス13、福聚9)
合併するエーベルは東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、茨城、長野、岐阜、新潟、奈良、大阪に計64店舗を有し、特に首都圏におけるクオールグループの充実が一つのメリットといえる。ただ、それ以上に注目されるのが、エーベルはメディセオ・パルタックホールディングスのグループ企業である本郷薬品が66.01%、三菱商事が33.99%出資していること。中村社長は「医薬品卸業界のNo.1企業のメディ・パルと、商社の中でも病院や医療機関向け事業に強い三菱商事との協調関係が深まる。M&Aを含め、両社のネットワークが活用できるメリットは非常に大きい」と強調する。
今期(08年3月期)連結業績見込みは、売上高が15.7%増の287億2700万円、営業利益は18.6%減の7億6300万円、経常利益は5.9%減の8億2300万円、当期純利益は21.8%減の3億1500万円(今回発表のM&Aの影響は含まず)。10月には合併による新クオールが171店舗となり、グループで計193店舗となる予定。特に1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)では合計106店舗と、クラフトに次ぐ首都圏での店舗網となる。また両社の売上高の単純合算は約364億円で、業界4位となる。