中外製薬は日本発抗体医薬の第1号で、世界で初めてIL‐6受容体を標的とした「アクテムラ」を皮切りに豊富な経験を蓄積し、競争の激しい抗体医薬の研究開発で独自技術を武器に優位性を確保する。岡部尚文執行役員研究本部長は「技術のプラットフォームをふんだんに使い込めば、技術の挑戦を含め、もっといろいろなことができる」と語る。昨年シンガポールに設立した「Chugai Pharmabody Research:CPR」の立ち上がりも順調で、さらなるパイプラインの充実が期待できる。
抗体は標的細胞に対する特異性と親和性が極めて高い上に、低分子化合物と違って、抗原に結合すると同時にシグナル伝達を阻害したり、免疫系や補体系の活性化を通じて殺細胞作用を発揮するなど、複数の働きを併せ持つことができる。
中外製薬は抗体を高機能化・最適化する技術力を強みに、他社に真似できない抗体医薬の研究開発に取り組んでいる。岡部氏は「普通の抗体に限界がある場合には、抗体の能力を大幅に高めたり、違ったメカニズムを考える」と話し、代表例として、抗原に繰り返し結合する“リサイクリング抗体”、抗原を血漿中から除去する“スイーピング抗体”、左右の抗原結合部位で異なる抗原に結合する“バイスペシフィック抗体”を挙げた。
この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2013年11月13日号に掲載された記事です。記事の続きは、「薬事日報」本紙、「薬事日報 電子版」でお読みいただけます。