アステラス製薬は、新薬創出力の強化に向け、5月に研究体制の再編を発表した。自社研究組織の閉鎖・縮小を行う一方、外部の資源や技術を自社に取り込み、移植・泌尿器・癌などの重点研究領域だけでなく、治療満足度が低い新規領域への探索に向けた新たな挑戦もスタートさせる。上席執行役員経営戦略担当の安川健司氏は、「2017年以降に再び主力品の特許切れが起きてくる。そこを抜け出すために今だからこそ改革に着手する必要がある」と強調。改革のゴールとして、研究開発の生産性向上を狙う。
同社は05年に発足以来、医療用医薬品、中でも新薬に特化した事業を展開。移植・泌尿器・癌領域を核とした「グローバル・カテゴリー・リーダー」(GCL)を追求し、新製品を投入することで、前立腺肥大症治療薬「ハルナール」や免疫抑制剤「プログラフ」など大型品の特許切れを乗り越えてきた。
ただ、足元の業績が好調である一方、研究開発の生産性は「当初設定した目標には届いていない」(安川氏)との認識だった。11年からその原因分析作業に着手し、持続成長を成し遂げるためには「特定領域に経営資源を集中させるだけではなく、治療満足度が低く競争優位性が高い新たな疾患領域の開拓」「外部資源のさらなる活用」「研究開発、特に有望な前臨床開発プロジェクトのさらなる加速」「研究費と開発費の費用バランスなど戦略的資源配分の仕組み」などの課題が浮かび上がった。
この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2013年11月13日号に掲載された記事です。記事の続きは、「薬事日報」本紙、「薬事日報 電子版」でお読みいただけます。